2022年10月8日(土)、クレアシンガポール事務所は、フィリピン大学ロスバニョス校(University of the Philippines Los Baños)において、日本の地方自治セミナーを開催しました。
このセミナーは、所員の派遣元自治体におけるベストプラクティスについてのプレゼンテーションやディスカッションを通じて、日本とフィリピンの行政システム等への理解を深めることと、当事務所職員の英語能力の向上や国際的感覚を習得することを目的としたものです。
本セミナーに協力いただいたフィリピン大学は、1908年にフィリピン最初の国立高等教育機関として創設された総合大学で、ロスバニョス校は、マニラ市内からやや離れたラグーナ市にある、農業を専門としたブランチ校です。同校は、緑豊かなキャンパスを有し、農学部、獣医学部などを中心とした学科が設置されています。また、名古屋大学のサテライトキャンパスもあり、東京農業大学や同志社大学などと交換留学制度を持つなど、日本の大学とも連携の深い大学です。
コロナ禍を経て約4年振りの開催となった今回のセミナーでは、公共政策大学院を中心とする学生約40名と教授・講師ら約10名の方に参加していただきました。また今回本セミナーはオンライン中継も行われており、現場を含め多数の方々にご視聴・参加いただきました。
1 シンガポール事務所職員によるプレゼンテーション
今回のセミナーでは、事前に大学からフィリピンの政治経済情勢に照らして学生や教員の興味のあるトピックを伺ったうえで、要望のあったテーマについて派遣元における施策を紹介する形式にて実施しました。
当日は、山本次長によるクレアシンガポール事務所及びJETプログラム紹介の後、当事務所の所長補佐3名が「スタートアップ支援」、「観光開発」、「災害対策」をテーマに英語でプレゼンテーションを行いました。フィリピンにおいて注目度の高いトピックを扱ったこともあり、参加者は真剣な面持ちで熱心に聴講していたのが印象的でした。会場はほぼ満員で、日本の自治体の施策への高い関心がうかがえました。
また今回は、大学での実地開催に加えてオンラインによる同時中継も実施しました。遠隔地からもインターネットを経由しての視聴が可能となり、より多くの方々に参加いただくことが出来ました。
2 シンガポール事務所職員と学生によるパネルディスカッション
プレゼンテーションに続いて実施されたパネルディスカッションでは、職員が紹介した派遣元の施策や関連する施策について多くの質問が寄せられました。「観光振興とオーバーツーリズムの関係」「都市部以外におけるスタートアップの支援施策」「起業が上手くいかなかった場合の支援策」「在住外国人への防災情報の提供」「海外に輸出できる日本の防災ノウハウ」等、プレゼンテーションにおいて紹介した派遣元の施策に関する質問に加え、昨今のフィリピンにおける政治経済状況を念頭に、自治体のみに留まらない日本全体の政策や個人の見解について問うものも多く、回答には困難が伴うものもありましたが、プレゼンターは自らの知識や経験に基づいて全ての質問に回答し、講演者・参加者双方にとって大変有意義な機会となりました。
3 今後の交流について
今回のセミナー実施に際し、大学側からは今後も継続的な交流を行っていきたいとの提案がありました。また、セミナー終了後に教員より好意的なフィードバックが寄せられ、所員としても手ごたえのあるものとなりました。
シンガポール事務所ではこのような活動を通して、今後も日本の自治体の取組や魅力を発信するとともに、所管国とのより一層のネットワークの構築と強化に努めてまいります。