シンガポールの科学技術政策では、科学技術と産業は不可分と考えられており、産業的応用研究がトップダウンで行われる点が特徴的です。最初の科学技術振興5か年計画である 「国家技術計画」(1991年~1995年)から、2016年に公表された「研究革新企業計画2020」(2016年~2020年)まで、計画的に科学技術の振興が図られています。
「研究革新企業計画2020」は、首相を議長とする研究革新企業評議会で議論され、具体的な施策は貿易産業省、教育省、保健省などが推進しています。これまで計画ごとに重点分野は変わってきていますが、同計画では「先進的な 製造業とエンジニアリング」「健康・バイオ医療科学」「都市ソリューション と持続可能性」「サービス・デジタル経済」の4分野に加えて、「次世代産業 につながる基礎的な学術研究」「研究を担う人材の開発」「イノベーション企 業の育成強化」が、横断的な重点課題とされています。この計画に基づいて5年間で190億シンガポールドル(約1兆5千億円)の予算が各分野に割り振られています。
今後5年間で、科学技術がどのように進歩するのか注目されます。
(シンガポール事務所調査役 徳永)