2016年8月6日、日本から遅れること2週間、シンガポールでも『ポケモンGO 』が配信されました。実は未配信であったシンガポールを侮辱する発言をSNS で行った外国籍の従業員が勤務先企業から解雇されるなど、配信前から大きな話題となっていました。世界中で社会現象を巻き起こす『ポケモンGO』を通して改めて日本のコンテンツの力を再認識させられました。
世界で人気沸騰中の『ポケモンGO』ですが、イスラム圏では禁止の動きが相次いでいます。
例えば、イランでは政府が公式に『ポケモンGO』を禁止し、トルコではイスラム教指導者の組合が、『ポケモンGO』で遊ぶことはイスラム教を 侮辱することにつながるとして禁止を要求しています。イスラム教では進化論を否定しているのでモンスターが進化することを受け入 れがたく、また禁じている偶像崇拝を助長すると考えられており、さらには神への冒涜にあたるとして受け入れられないようです。また、イスラム法学の権威者は、ポケモンの登場キャラが超自然的な力を持つという設定には「日本の神道思想が反映されている」として、異教徒が開発したポケモンGOで遊ぶのは「ハラーム」(禁止事項)にあたると述べています。ポケモンは多神教的な 思想など、イスラム教で禁止されている要素が含まれていることも理由だと言 われています。
ここではシンガポール事務所が所管する2つのイスラム教国の状況について報告します。
世界最多数のイスラム教徒を抱えるインドネシアの宗教指導者団体は、他国に比して寛容であり、宗教上の禁止令を出さないことを明らかにしました。
また、同国のイスラム指導者会議(MUI)は、『ポケモンGO』に対する公式な声明は発表していません。
イスラム法評議会が「『ポケモンGO』は偶像崇拝へ繋がりかねない」として、 自国民に『ポケモンGO』で遊ぶことを認めない声明を出しました。
また、位置情報を利用するゲームのため、外国勢力によるマレーシア人の行動監視やプライバシーの侵害の可能性があると指摘しました。
このような宗教的な議論をよそに、『ポケモンGO』の人気はイスラム圏でも根 強く、プレーヤーも多いと言われています。 『ポケモンGO』への批判的な声は宗教的な理由のみならず、安全性やモラル面 からの指摘もありますが、プレーヤーのモラルはすぐにでも改めることができます。プレーヤーに求められるマナーは万国共通です。 私も一人の「ポケモントレーナー」として十分気を付けて「Go」!
(シンガポール事務所所長補佐 新居)