シンガポールでギャンブルといえば、2010年に開業したマリーナベイサンズとリゾート・ワールド・セントーサのカジノを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実際、現在のシンガポールのカジノ収入は6,500億円とカジノ単体の収入でシンガポールのGDPの1%相当の規模となっており、観光立国シンガポールを支える重要な産業となっています。
一方で、日本で一般的なギャンブルの一つといえば競馬です。実はここシンガポールにも競馬場があります。シンガポールで最初に競馬が行われたのは、英国領であった1843年のことと古く、建国前から運営されています。ここでは170年以上の歴史と伝統を持つシンガポールの競馬についてご紹介します。
1842年に競馬ファンのグループにより、シンガポール・スポーティング・クラブ(現在のシンガポール・ターフクラブ)が結成されました。その後もシンガポール国内の主催団体はこの団体のみで、クランジ競馬場で競馬を開催しています。
競馬場は、全天候型のトラックと、巨大なガラス窓越しに観戦できる屋内スタンドを持った、非常にレベルの高い施設で、快適に過ごすことができます。レースは金曜日の夜間と日曜日の昼間に行われており、日本人調教師なども在籍し、活躍しています。
また、日本と異なり、ドレスコードがあるほか、18歳未満の入場が禁止されています。
このように歴史のあるシンガポール競馬も、2010年のカジノ解禁から売上が減少していると言われています。
馬券の購入についても、電話やインターネットによる購入方法を拡大したほか、マレーシア、香港、オーストラリア、韓国などと連携し、相互に馬券が購入できるようにするなど購入者層の拡大にも努めています。
このほか、レースが開催されていない日には、コースや場内のレストラン等の施設を活用して結婚式が行えるようにするなど、競馬以外のエンタテインメントにも力をいれています。
カジノ大国となったシンガポールで今後競馬がどのように再び盛り上がっていくか注目です。
(シンガポール事務所所長補佐 新居)