11月29日(水)から12月1日(金)まで開催された「Asia TV Forum & Market 2017」(ATF)に出展するため、札幌市IT・クリエイティブ産業担当課がシンガポールを訪れました。
また、同市はこの期間中、シンガポールの放送事業者・映像コンテンツ配信事業者と面談し、現地事業者の事業内容や運営方法について話を伺ったほか、事業者間の連携可能性を探るため、活発な意見交換を行いました。
当事務所では、この面談に関するアポイントメント取得と同行支援を行いましたので、ATFの取材結果と合わせてご報告します。
1 事業者との面談
(1) メディアコープ社
メディアコープ社はシンガポール唯一の地上放送事業者(政府出資会社)です。主な番組・映像コンテンツは外部のコンテンツ制作会社に委託をしているため、国際共同制作のような連携を希望する場合は、コンテンツ制作会社との協議が必要とのことでした。
また、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックまでの期間は、日本各地をPRする絶好の機会であり、メディアを積極的に活用すると良いとのアドバイスをいただきました。
(2) グローブキャスト アジア社
フランス系の番組・映像コンテンツ配信事業者です。事業内容は、配信委託を受けた番組・映像コンテンツを、編集・字幕処理を行ったうえでアジア各国に配信するもので、日本やイギリスの大手放送局など世界規模で顧客がいるとのことでした。
アジア各国に配信するうえでの注意点は、各国の放送規制や宗教(イスラム教など)、文化に合わせて編集を行わなければならないとのことでした。同社には各国対応の編集スペシャリストが配置されており、LIVE中継でも1分以内で編集・字幕処理を行うことができると自信をもって語っていました。
(3) ディスカバリーネットワークス アジア・パシフィック社
アメリカ系の放送事業者です。東日本大震災からの復興をテーマにした番組「Rebuilding Japan」では日本のコンテンツ制作会社と、日本の魅力発信をテーマにした番組「“Super Japan”見つけた、本当の日本」では総務省と、それぞれ国際共同制作の実績があるとのことでした。
日本の自治体や地方放送局との国際共同制作の実績はありませんが、「アイデア交換などを行いつつ、今後の連携可能性を探っていきたい」と積極的な意見をいただきました。
また、メディアコープ社同様、東京オリンピック・パラリンピック開催で日本に注目が集まっている今こそ、日本各地をPRする良い機会であるとアドバイスをいただきました。
今回面談を行った3社は日本の自治体との連携実績はまだありませんが、今回の面談をきっかけに国際共同制作などの連携が実現し、日本の地域の魅力発信・地域経済の発展につながることが大いに期待されます。
当事務所では、このように訪問・面談先のアドバイスやアポイントメント取得といった海外での自治体の活動支援を行っていますので、どうぞお気軽にご相談ください。
2 ATF取材結果
日程:2017年11月29日(水)~12月1日(金)
会場:マリーナベイサンズ 4F Sands Expo & Convention Centre
規模:来場者数 約6,500人、出展者数 760社
ATFはアジアにおける番組・映像コンテンツの主要な展示会です。アジアを中心に世界各国・地域からバイヤーとセラーが来場し、商談やネットワークづくりなどが行われ、取材した11月29日も多くの関係者でにぎわっていました。
ブースは国別に設置されており、開催国であるシンガポールを除くと、中国・台湾・韓国・フランスがメイン通路に面して広いブースを確保しており、大きな存在感がありました。
日本も「JAPAN PAVILION」を設置していましたが、会場隅にあったためか、先の4か国と比べると少し目立たない状況でした。
日本の番組・映像コンテンツへの関心について来場者に話を聞いたところ、「アニメ」、「旅行」といったジャンルに加え、スポーツエンターテイメント番組「SASUKE」が具体的にあげられました。
出展者によると、現地版も制作されており、東南アジアで大人気とのことでした。
来場者への取材を通じて日本の番組・映像コンテンツの魅力・可能性について期待することができた一方で、各国が番組・映像コンテンツに力を入れて積極的に売り込んでいることに少なからず危機感を覚えました。
当事務所では、今後もASEAN各地の最新情報を発信してまいります。