4月17日(火)と18日(水)、南大阪振興促進議員連盟訪問団の計14名がシンガポールの港湾、空港、都市緑化、IR政策について知見を深め、南大阪地域の振興に寄与することを目的とし来星しました。クレアシンガポール事務所では、シンガポールの概要及びASEAN・インドの状況等についてブリーフィングを行ったほか、視察先へのアポイントメント取得及び同行支援を行いました。
以下、主な視察先での情報をお伝えします。
1.シンガポール海事港湾庁(MPA : Maritime and Port Authority of Singapore)
MPAは1996年に設立された組織で、シンガポールの海事、港湾業務の監督等の機能を有しています。
現在シンガポールにはパシルパンジャン、タンジョンパガー、ケッペル、ブラニの4つの港湾ターミナルがありますが、パシルパンジャンは2040年、それ以外は2027年に用地の契約期限が切れることから、これらをすべてシンガポール南西のトゥアス地区へ集約する計画が進められています。すべての移転が完了する時期は明言されておりませんが、段階的に集約を進めながら、2021年にはトゥアス・ターミナルの運用が開始される見込みです。当ターミナルは6,500万TEU(※)まで年間貨物の取扱が可能であり、施設の統合に伴う荷役作業の時間の短縮や、水深の深化に伴うコンテナ船の大型化対応などがメリットとして期待されています。
今回はMPAからトゥアス・ターミナルのマスタープランの説明があり、その中で船舶の動きや到着時間を簡単に把握できる自動化システムの紹介もありました。2030年までには「完全にデジタルな港湾」を目指しているとのことで、自動化・効率化に力を入れている印象を受けました。
また、MPAは港湾水域の環境保護にも注力しており、一例としてターミナルの移転時には関係機関と協力し、トゥアス地区のサンゴ礁を別の場所に移動する取組などを行っております。
そのほか、トゥアス・ターミナルの開発に伴う埋め立て事業では、シンガポールの道路やMRT(地下鉄)を開発した際の浚渫物を使用することで、約10億シンガポールドルのコスト削減を成功しているなどの話もありました。
※TEU…Twenty feet Equivalent Unit : 20フィートコンテナ換算個数
2.機体整備工場(SASCO:ST Aerospace Services Co. Pte Ltd)
SASCOは国内外の民間機などを対象とし、航空機のメンテナンス、修理、部品・エンジンのトータルサポートなどを行っています。
アジア太平洋地域、アメリカ、ヨーロッパなどの主要都市に事務所を設置しており、シンガポールには3つの工場と計11の格納庫があります。
機体の整備・点検については、エンジン部品担当や座席シート担当など各分野の担当が1機当たり合わせて10名程度で行うとのことでした。
ちなみに、シンガポールは台風の被害を受けないため、格納庫にはドアが付いておりませんでした。機体の洗浄は整備後にまとめて行うそうです。
また、「日本の航空産業が世界に打って出る場合、具体的に何が必要か」という視察者からの質問に対し、専門性を持った人材の育成という回答があり、「航空業界も多種多様に変化しているため、そのような変化の流れにも対応できる高い専門性を持った人材の確保が重要である」という言葉が印象的でした。
3.チャンギ国際空港
チャンギ国際空港は1981年に24時間空港として開港し、現在、世界空港ランキングでは6年連続で1位の座を獲得している非常に優れた空港です。
2017年10月31日には第4ターミナルがオープンし、さらに2030年には当空港の中でも最大規模となる第5ターミナルがオープンする見込みで、ますます発展が進む魅力的な空港です。
当空港の特徴の一つとしては、乗継客に対する配慮が整っていることが挙げられます。例えば、乗継客の待ち時間に無料の周遊バスで市内観光を提供するサービスのほか、映画館、プール、バタフライガーデンという子どもから大人まで楽しめる仕掛けが数多くあります。
また、日本の空港でトラブルがあった場合は原則航空会社が対応することとなっておりますが、当空港の場合は空港が航空会社と連携することが多いようで、航空会社からも好まれる空港とのことです。
今回は第1ターミナル、第2ターミナル、そして自動チェックイン機等のオートメーション化された機器が導入されている第4ターミナルを視察しました。2019年には空港に隣接して大型ショッピングモールが完成予定で、チャンギ国際空港の更なる発展にますます目が離せません。