日本政府観光局(JNTO)によると、2015年のシンガポールから日本への旅行者数は約31万人と過去最高を記録し、前年比35.5%の増加を見せています。国民の10人に1人が日本へ旅行に行くという、空前の訪日旅行ブームの真っただ中といえるシンガポールで2016年8月19日(金)から21日(日)に旅行博「Travel Revolution 2016」が開催されました。自治体国際化協会シンガポール事務所は、JNTOシンガポール事務所が出展する日本パビリオン内ビジットジャパンブース等において、観光PRを実施しましたので、現地の様子など報告します。
【 参 考 】 シンガポールの訪日観光の特徴
・2015年の訪日者数は約31万人と過去最高(前年比35.5%増)
※2011年以降毎年前年比20%以上の伸び
・9割がFIT旅行者(個人手配)
・訪日者のうち7割が訪日経験有
・女性20~40代が増加傾向(「女子旅」の増加)
観光庁の調査によると、シンガポール人の日本への観光客は7割がリピーターと分析されています。さらに10回以上日本を訪れている人は17%にも上り、かなりの「日本通」が多いこともシンガポール市場の特徴です。そのため、ゴールデンルート(東京・山梨・静岡・愛知・京都・大阪)以外の訪日宿泊実績が全体の4割を超えるなど、地方への関心が年々高まっています。ブースでの問い合わせは、東京や京都、大阪に関するものが多かったものの、北海道や九州など様々な地域の問い合わせも多くありました。また、東京・北海道、関西・九州など広範囲に複数地域を旅行先として検討している人も多く、着実にゴールデンルート以外の地方への関心が高まっていることを実感させられました。このため、シンガポールでの観光プロモーションは広域で連携した売り込みが重要であると感じました。実際、出展団体も広域で連携したものが多く、各ブースもエリア毎に配置される工夫がみられました。
ブースでは、目的地までのアクセス方法にする問い合わせが非常に多く、東京や大阪・京都からのアクセスや最寄の空港からのアクセスなども多く質問がありました。また、セルフドライブについても質問も多く、地域も北海道、関東、九州など様々でした。そのため、広域地図がついているものや電車やバスの路線図、時刻表などの詳細情報が掲載されている観光パンフレットは来場者からの評判が非常によかったです。茨城県では東南アジアの方が、フルーツと花に関心が高いことを踏まえ、それぞれの旬をカレンダーにした観光パンフレットを作り、来場者からも好評でした。日本通が多いシンガポールでは、求められる情報も、より緻密になってきている印象を受けます。こうしたニーズに応えられる観光パンフレットが重要であると感じました。
群馬県と鹿児島県からの派遣職員が派遣元の自治体の出展ブースを支援し、観光PRなど行いましたので、以下のとおり報告します。クレアでは、自治体からの依頼に基づきこうした旅行フェアでのブース運営支援なども可能な範囲で行っていますので是非ご活用ください。
群馬県は昨年からトラベルレボリューションへの単独ブースの出展をし、職員、通訳のほか、在星の群馬県関係者で構成される「ぐんまシンガポールサポーターズ」など様々な方のサポートで群馬県のPRを実施しました。
ブースでは、「東京から群馬までの行き方(電車・バス及びレンタカー)、JRパスは使えるか」、「雪のシーズンはいつか」、「季節ごとのフルーツについて知りたい」、「食事や旅館について知りたい」といった声が聞かれました。東京から比較的近いためか、多くの方が東京観光に合わせて雪遊びやフルーツ狩りなどの「+α」を検討されていました。また、レンタカー等で上信越を巡るコースの中で群馬県への滞在を検討されている方も多く、ゴールデンルート以外の地域への関心が高まっていることを感じました。
旅行会社HISが出展するブースの一角にブースを出展しました。ブース内ではシンガポールから鹿児島への団体のツアー商品や、東京や大阪と鹿児島間の個人パッケージ商品も販売されており、希望する場合はその場で商品を購入することができるという仕組みになっていました。鹿児島ブースを訪れた人の中には、すでに何度か日本に旅行に行ったことのある人が多く、「首都圏や北海道に行ったため、次は南にある鹿児島に行ってみたい」、「10日間程日本に滞在するため、東京や大阪を拠点にして九州まで足を延ばしたい」、「九州一周のドライブをしたいが、どこを訪問すれば良いか教えてほしい」といった声が聞かれました。訪問先としては世界自然遺産に登録されている屋久島のほかに、指宿の天然砂蒸し温泉や、時期によって干潮時に砂洲が出現し、陸地から渡ることができる知林ヶ島など、少し変わった体験ができるものや外国人がほとんど訪れていない観光地に興味を持っていました。
また、ブース前を通る人たちに声をかける際、「九州にある鹿児島」というと足を止める人が多く、「九州」という地名の認知度がシンガポールで高いということが分かります。
会期 | 2016年8月19日(金)~21日(日) 11:00~21:30 |
開催場所 | Marina Bay Sands |
主催 | Singapore Outbound Travel Agents Association |
対象 | 一般消費者 |
入場料 | 無料 |
来場者数 | 約111,000人(2016年2月開催時は約81,000人) |
自治体・関連団体の出展者 | 群馬県、茨城県、和歌山市、北海道観光振興機構、東北観光推進機構、関西地域振興財団、紀伊半島滞在型観光プロモーション事業実行委員会、沖縄観光コンベンションビューロー |