ベトナムは、日系企業の進出や日本語教育熱の高まりを受けて、日本の自治体の関心が高まっています。まだ発展途上とはいえ、日本文化への関心が高く、日本食料理店も急増しています。
2016年11月19日(土)、クレアシンガポール事務所はそのようなベトナムの現状調査の一環で、ホーチミンにある「agata Japanカフェ」を訪問しました。当日伺ったベトナムでの通販サイトおよびリアル店舗であるカフェの展開内容を中心に、その事業主であるSTARMARK(以下、「S社」)の事業内容、中でも特に自治体との連携可能性について報告いたします。
S社は、2004年に東京で設立。現在香港、ベトナム、シンガポールに拠点を持つグローバル企業です。「オールジャパンで協力し合い、自社がそのプラットフォームとなって、47都道府県の新旧よいものを世界195か国に届ける」というagata構想のもと、通販サイトや連動したカフェの運営、また海外進出企業の事業基盤からマーケティングまでの総合的なサポートを行っています。
S社の代表事業に47都道府県の老舗を紹介する「老舗通販.net」の運営があります。これは、3代100年同業で続く会社の商品のみを扱い、現在商品数は5,000点以上、ブランド数も50以上にのぼります。国内向け事業ですが、商品を随時追加するため、定期的に各都道府県の老舗企業を探しています。
2015年11月には、ベトナムで現地通販サイト「agata Japan」の運営を開始しました。日系商品だけを扱うことで高い品質を確保し、佐川急便ベトナムに配送を委託することで適切な温度管理・スケジュールのもとでの配送を可能にし、ベトナムに数多く存在する通販サイトとの差別化を図りました。
さらに、この通販サイトと連動させた、リアル店舗である「agata Japanカフェ」をホーチミンに2016年7月にオープンさせました。ここでは、通販サイトで扱う商品をカフェメニューとして提供したり、店頭で利用・販売したりしています。実際に見ずに日本商品をインターネットで購入することには抵抗があるというベトナム人利用者も多いため、リアル店舗で、実際にものを見て確かめる機会を提供するというのは非常に重要になります。また、ベトナム人には珍しい茶室を設け、かるた大会や茶道体験教室、日本語教室の開催などを行い、日本文化の紹介にも努めています。
「agata Japan」では自治体とのタイアップも積極的に行っています。
ベトナム国営放送VTVと日本のローカル局が協力し、ベトナム人シェフと日本人シェフが日本の食材を使いながら、ベトナム定番料理を作り出す料理番組を期間限定で行っています。
番組内では、使用した食材の説明に加え、そこのローカル局の制作した観光VTRも併せて流し、その自治体の物産・観光PRを行うことができます。
もちろん、その食材を通販サイト「agata Japan」で購入することもできます。
「agata Japanカフェ」では、自治体とのタイアップを行い、地元の食材を使ったカフェメニューを試作品として提供することや、工芸品を店内に装飾することも可能です。(販売は別途ライセンスの取得が必要になります)オープン直後は、1カ月ほど秋田県フェアが開催され、みそ田楽やいぶりがっこがカフェで提供されたり、なまはげのお面やお菓子・酒が展示されたりして、カフェが秋田県一色になりました。
S社では段階を踏んだ、以下のようなサポートを行っています。
第1ステップ | コンタクトポイント創出 | 「agata Japanカフェ」の棚へのパンフレットの陳列など |
第2ステップ | 商品トライアル | 「agata Japanカフェ」での試作品の提供など |
第3ステップ | 販売開始支援 | 販売ライセンスの取得から輸入手続きに至るまでの総合的なサポート |
いざ第3ステップとなりましたら、通販サイトやカフェでの販売はもちろん、S社が独自に持つ小売業者(日本食料理店や日本商材を扱う小売店)への卸売りも行っています。
「agata」は県という漢字の旧い読み方“あがた”に由来し(S社事業概要より)、S社は47都道府県のよいものを世界に発信するための様々な取組を行っているとのことです。自治体におかれては連携の可能性を検討されてはいかがでしょうか。