一般財団法人自治体国際化協会は、2014年11月14日から24日にかけて、東南アジアの中でも日本食品のマーケットとして有望なタイの首都バンコクにおいて、自治体の海外販路開拓支援事業「日本ふるさと名産食品展」を開催しました。
タイでは、近年の日本食ブームもあり、日本産農林水産物・食品が注目を集めています。平成25年のタイへの農林水産物・食品の輸出額は344億円と前年より約30%増加して東南アジア最大の規模となり、日本産食品に関する商談会や展示会などのプロモーションも活発に行われています。先進的な自治体では、独自の物産展開催や、自治体の海外事務所による販路開拓を行っているものの、こうした取り組みは大変な労力を要するとともに、単独自治体での取り組みでは効果が限定的となるケースもあります。
このような背景を受け、多くの自治体が地域産品のテストマーケティングと販路開拓のために手軽に参加できる場として、昨年に引き続き同展を開催しました。
昨年同様、バンコク中心部にある高級百貨店サイアム・パラゴンをメイン会場としました。ここはBTS(高架鉄道)のサイアム駅と直結する大変便利な場所で、多くの地元客、観光客が訪れ、富裕層の来店が多いことも特徴です。食品展は食料品売場であるグルメマーケットで開催しました。同じフロアにはフードコートや飲食店もあり、連日、多くの来店客で賑わっています。また、今年はサイアム・パラゴンを運営するモール・グループの郊外型店舗ザ・モール・タプラの食料品売場ホームフレッシュマートでも一部商品の販売を行いました。
柿は昨年も売れ行きが良かったことから、今年はタイ人の好む固い柿のみ倍の量を用意しましたが、1人で20個も購入する客がいるなど飛ぶように売れ、急遽追加で空輸するほどでした。また、タイ人の好みに合わせて肉厚にした柿チップも完売しました。
一方、大葉を使った煎餅は固すぎない歯ごたえが受けたようで、柿とは逆の傾向も見られ興味深い結果となりました。
日本茶はタイでは健康に良いと認識されていることもあってか、一番高いものから売れていきました。また、米好きのタイ人には玄米茶も売れていました。
カステラは甘すぎるという声もありましたが、試食で牛乳と良く合うことをアピールしたり、チーズを載せた食べ方やフライパンで焼く食べ方を紹介するなど、様々な食べ方が提案されました。同様に、だしやうどんについても試食を重視したプロモーションが行われました。
酒類については、法律で販売時間の制限があることや店頭での試飲ができないことから、試飲で行列のできる香港や台湾などとは違い、商品の良さを言葉で説明することに腐心していました。
梨は苦戦しましたが、離れて暮らす親へのプレゼント用にと高価な箱入り6個セットを試食せずに買っていく客もいました。日本の食品に対する安心感は非常に高いようです。
今年も、会場のサイアム・パラゴンでは食品展前半の11月14日(金)~16日(日)に観光庁・日本政府観光局(JNTO)が主催する「Visit Japan FIT Travel Fair 2014 Winter」が開催されました。FITフェアの期間中は、会場ステージで食品展出展企業5社が商品のPRイベントを行い、訪日旅行を検討しているタイ人が多く集まる場で地域産品のPRをすることで、観光と物産を組み合わせて総合的に地域の魅力をアピールしました。
各企業からは産地や出展商品の紹介が行われた後、風呂敷を使った和風包装のデモンストレーションや体験、じゃんけん大会が行われ、盛り上がりを見せました。あわせて商品の試食品も提供され、試食をするために多くの来場者がステージに詰めかけていました。
今回の食品展は、募集時期にタイでクーデターが発生したこともあり、出展企業は昨年の半数ほどの8社にとどまりましたが、1企業あたりの売上金額は昨年の約2倍となりました。一方、郊外店のザ・モール・タプラでは販売に苦戦するなど、開催準備や会場運営も含めて改善すべき点も多くありました。
今年で2回目となった「日本ふるさと名産食品展」について、サイアム・パラゴンを運営するモール・グループからは、自治体の共同組織であるクレアの強みを生かして日本の地域産品を集めることができると高い評価を得ており、来年度の開催についても強く要望されています。
私たちクレアは、同展をさらに充実したものとするだけでなく、これからも様々なかたちで自治体の海外販路開拓を積極的に支援していきたいと考えています。
開催期間 | 2014年11月14日(金)~11月24日(月)の11日間 |
開催場所 | タイ・バンコク都 サイアム・パラゴン Gourmet Market ザ・モール・タプラ Home Fresh Mart |
主催 | 一般財団法人自治体国際化協会(本部経済交流課、シンガポール事務所) |
対象者 | 一般消費者 |
出展者 | 8事業者(8地方自治体) |
出展内容 | ■農水産物 トマト・梨・柿 ■加工品 ■その他 全39品目 |
販売総額 | 138万1,485バーツ(約554万円) |
(与那嶺所長補佐 沖縄県派遣)