9月16日(土)、17日(日)の2日間、星日文化協会(Japan Cultural Society, Singapore)(以下「JCS」)が主催する「第47回日本文化祭」、伊勢丹スコッツ店前およびコミュニティセンター「Our Tampines Hub」において、日本の重要無形文化財である高千穂の夜神楽を披露しました。この事業は、シンガポール人の日本の伝統文化への理解促進を図るため、国際交流基金の支援のもとJCSおよび宮崎県等と協力し行われました。
神楽とは、その年の収穫と翌年の五穀豊穣を願って、音楽に併せて舞を披露するものです。日本の国造りにまつわる日本の古代神話がモチーフにされており、多くの神様が登場します。
高千穂町で行われる神楽は、毎年11月頃から2月頃にかけて、各集落において夜通し実施されるため多くの場合「『夜』神楽」と呼ばれます。
今回は、宮崎県高千穂町岩戸地区の野方野神楽保存会により、手力雄(たぢからお)の舞、鈿女(うずめ)の舞、戸取(ととり)の舞の3演目が披露されました。
日本文化祭は、50年以上に渡り、日本とシンガポールの架け橋として相互理解の促進に努めてきたJCSが毎年主催しているもので、シンガポール人と日本人が一緒に日本文化を発信する場です。公演後、JCSから、「想像以上に観客からの反応が良かった」「ファンタスティックであった」というコメントを頂くとともに、JCS会長Lai氏からは、「今度は是非高千穂町を訪問し、本場の夜神楽を見てみたい」という言葉を頂きました。
本公演会場は、高級ブランド店が多く立ち並ぶ、非常に人通りの多いシンガポールの「銀座」と呼ばれるエリアにあるデパートです。普段は人の流れが速い場所であるにも関わらず、たくさんの方が公演開始から終了まで立ち止まって鑑賞し、公演後はたくさんの拍手で会場が包まれました。また、神楽公演に併せて、伊勢丹スコッツ店の地下1階で開催していた「秋の九州フェア」と連携して、宮崎県産茶の無料試飲、宮崎県産梨及びブドウの販売等を行いました。日本の伝統芸能の紹介と物産プロモーションを同時に行うことで、相乗効果が働き、宮崎県及び高千穂町のPRを効果的に行うことができました。
本公演会場は、今年8月にグランドオープンしたばかりのコミュニティセンター(公民館)であり、フードコートやスポーツ施設、ショッピングエリアも兼ね備えた複合施設です。本会場での公演は、シンガポール人民協会(People’s Association)にご協力いただいたことで実現しました。当日は、太鼓と笛の音が鳴り始め、会場が荘厳な雰囲気に包まれ始めると、隣のフードコートにいた人達が自然と集まってきました。さらに、一眼レフを持参している方も多く、神楽への関心が非常に高いことが分かりました。観客の方に感想を聞いたところ、「初めて見た。素晴らしい。」「宮崎県や高千穂町に行ってみたい」という声をたくさん頂きました。
当事務所のFacebookにて本神楽公演の事前告知をしたところ、リーチ数が1,700に上るとともに、電話での問い合わせも寄せられるなど、公演前から日本文化への関心の高さが窺えました。今年は、公演会場を3会場に増やし、本物の日本文化に触れていただく機会をより多く設けたことで、たくさんのシンガポール人が日本の伝統芸能に対する関心と興味を高めることに繋がりました。今後もクレアシンガポール事務所としては、日本の地方自治体やJCS、国際交流基金などと協力しながら、日本の伝統芸能のシンガポールへの発信・普及を支援する活動を行っていきたいと考えております。