7月17日(月)~27日(木)までの間、愛知県豊橋市がインドネシア・ソロク市水道局に対し、浄水技術支援を実施しました。この取り組みは平成25年度から2年間、クレアのモデル事業において下地となる活動を経た後、平成27年度よりJICA「草の根事業」として採択され、27年から3カ年事業として浄水技術支援を委託されたものです。目的は「飲める水をつくる技術を伝えること」であり、平成29年度で最終年度となります。このような経緯を踏まえ、クレアシンガポール事務所も取材しましたので、その様子を紹介いたします。
厚生労働省からの指針である「水道ビジョン」に提示されている持続性の確保方針には「国際展開」方策が盛り込まれており、水道技術や経営手法等を必要としている発展途上国に対し、国際的にも高い水準にある日本の水道分野の国際協力を行うことは、経済協力の一環として、また、水道産業の国際展開の推進に寄与するものとして捉えられています。
また、豊橋市を含む多くの日本の自治体においても少子高齢化により実務経験豊富な水道技術者が減少しており、「安全・安心・安定」した水道事業を将来に渡り継続していくために水道技術者の育成が急務となっています。このような発展途上国の水道事業における課題に取り組むことで、職員の能力向上及びグローバルな感覚を持った人材の育成にも繋がると考えられています。
ソロク市の水道水は、インドネシアの水質基準にしっかりと満たされているものの、日本の基準としては到底飲めるレベルではありませんでした。そのため、現地の職員達に水質向上の必要性を感じてもらうことが当初の課題だったそうです。ソロク市の方の殆どはミネラルウォーターを飲んでおり、生活費の中で飲料水にかかる費用は決して少なくないということもあり、将来的に市民の生活を助けるものになるという説明などを技術支援と併せて行っていくうちに、現地の職員達の良い水にしたいという想いは非常に高くなったそうです。そして、今回の支援での目的であった「飲める水をつくる技術を伝えること」も順調に達成に向かっています。
これらの技術支援は、技術を教えた後にどれだけ現地の職員がモチベーションを保ち、更なる向上心を持って活動を継続していけるかが重要となります。そこに必要となってくることの一つとして、支援を行う側と受ける側の関係性も挙げられます。 今回の豊橋市とソロク市の職員達を見ると、友人のような関係性でありつつも、支援の際には気持ちを引き締めることができる絶妙なバランスでした。
これから先、日本の自治体と海外の自治体がこのような関係性を構築していくためには、互いの根気や信頼関係が益々大切になっていくと考えられます。