現代社会において情報活用能力を身につけることは大変重要なことです。これらの能力を身に付けるため、子どもの教育分野においてもICT(情報通信技術)を活用した取り組みが世界各国で行われています。世界有数の教育先進国であるシンガポールにおいても同様で、1997年に「ICT教育マスタープラン」が作成されたのち、2003年、2009年、2015年に計画の見直しが行われ段階的にICT教育の推進が図られています。
シンガポールの特徴ある取り組みのひとつとして、「フューチャースクール」 制度が挙げられます。この制度は、各学校が「ICTを活用した教育方法」について提案を行い、提案が採用された学校を「フューチャースクール」として認定 してシンガポール教育省がICTの環境整備に係る経費を支援するプログラムです。認定された学校では、1人1台のタブレット型パソコンが支給されるなど、最先端の環境の中で授業を受けることができ、パソコン等への適用性の向上や学習に対して意欲的に取り組む姿勢が多くみられるといった効果も認められています。
一方、パソコン等を自由に使えるということで、不正アクセスや有害サイトを通じたトラブルに巻き込まれるケースや急速に発展したICT教育に教師が対応できないといったケースも発生しています。これらの課題についても、インターネット へのアクセス制限やセキュリティソフトの導入、教師を対象とした講習会の実施など様々な対応策が実施されています。
日本においても、パソコン等の環境整備の充実とともに、小学校においてプログ ラミング教育が必修化されるなど新たな取り組みが進められており、その成果が期待されます。
シンガポール事務所 所長補佐 古谷