2017年9月14日と15日にベトナムのハノイ市内において、日本国総務省とベトナム内務省の共催で地方行政セミナーが開催されました。クレアシンガポール事務所はASEAN地域の現地事務所として、総務省の側面支援を行いました。
セミナーでは初めに総務省及びベトナム内務省から2名のスピーカーによる基調講演が行われました。総務省大臣官房総括審議官は「地域社会の基盤強化に向けた取組について」をテーマとして、日本の地方自治体の構成や担う事務、市町村合併の歴史や合併後の状況などの概論を説明しました。
一方、ベトナム内務省地方自治局長は「ベトナムにおける地方行政制度の概要および地方行政組織法の新しい規制について」を題材とし、地方政府及び人民評議会、人民委員会の権限や任務、組織体制等についての説明を行いました。また地方政権組織法に行政境界の設置や解体、併合、分割などに関する章が新たに追加されたとの報告もありました。
続いて、日本の自治体が事例発表を行いました。まず、島根県地域振興部市町村課長が「島根県における市町村合併について」、次に、福岡市総務企画局国際部長が「アジアのリーダー都市を目指して」と題して発表しました。発表後は時間が足りないほど、ベトナム側から質問の手が上がりました。島根県へは「市町村合併の権限は国にあるのか、それとも市町村にあるのか」といった質問が、また発表の中で都市行政の運営に触れた福岡市に対しては「予算に余裕がある場合、職員の給与額を上げるなどの運用ができるか」「自治体の権限で職員数を減らすことができるか」といった具体的な質問が上がりました。ベトナム側がすでに明確な課題を抱えていて、日本の経験を参考にしたいという強い意欲の表れではないかと感じました。
またベトナム側はなんと10人のスピーカーがそれぞれ事例発表を行い、聴講者はそれぞれ自らの自治体と比較しながら、講演を真剣に聞いていました。
今回のセミナーを通して、ベトナムの地方行政は今まさにキャッチアップの時代であり、今後急速に行政改革が進められていきそうな迫力を感じました。
クレアシンガポール事務所では所管国の行政について調査を行っております。引き続き、ベトナムの地方行政について動向を注視し、調査を進めてまいります。
(川﨑所長補佐 いちき串木野市派遣)