2018年10月17日(水)から20日(土)にかけて、マレーシアのクアラルンプールにおいて「国際グリーンテック・エコプロダクツ展示会(IGEM: International Greentech & Eco Products Exhibition & Conference Malaysia 2018)」が開催され、東京都及び首都大学東京が出展し、水素社会推進のための取組や研究成果を紹介しました。東京都は、クアラルンプールをはじめ、アジア諸都市のニーズと東京が持つ優れた技術を結び付けることで、都市に共通する課題の解決と、相互のビジネスチャンスの拡大を目指す都市間の実務的協力事業「経済交流促進のプラットフォーム」を展開しています。今回の出展はその事業の一環で実施されたものです。
今回、東京都は首都大学東京と合同で出展しました。東京都は前述の「経済交流促進のプラットフォーム」のもと、首都大学東京の効率的な水素燃料電池の開発にかかる研究を支援しています。東京ブースでは、東京都が進める水素社会の実現に向けた取組のほか、首都大学東京の2研究(液体燃料の改質を用いた新しい燃料電池システムの開発・イオン伝導性ナノファイバーフレームワークから構成させる次世代型固体電解質膜の開発)についても紹介しました。
会期中は、多くの政府関係者や企業関係者が東京ブースに立ち寄り、紹介内容に高い関心を示していました。また、マレーシア工科大学をはじめとする複数の大学から学生たちが訪れ、首都大学東京の教員から研究内容について説明を受け、熱心に質問する姿が見られました。
東京都の本展示会への出展は5回目となります。その中でも、水素社会実現にかかる取組を紹介するのは昨年に続き2回目です。今回印象的だったのは、来場者の水素に対する関心が、昨年に比較して非常に高いことでした。多くの来場者が長時間ブースにとどまり、首都大学東京の教員に専門的な質問をしていました。出展者は圧倒的に太陽光パネルを扱う企業が多い一方で、東京ブースを訪れる人の中には、水素エネルギーに関する仕事をしている、研究をしているという人もいました。このことは、マレーシアをはじめとする東南アジア各国が、再生可能エネルギーの導入を進めながらも、すでにその先の世代のエネルギー戦略に取り組み始めていることの証左ではないでしょうか。
マレーシアは、今年5月の政権交代後、従来の環境政策を所管するエネルギー・環境技術・水省を再編し、エネルギー・科学・技術・環境・気候変動省を発足させました。新しい体制のもと、総合的に環境対策に力を入れていく姿勢がうかがえます。エネルギー政策を取り巻く状況は変化が激しく、技術も日々発展しています。そのような中で、ASEAN各国が今後どのような戦略をとっていくのか、注視していきます。