ABCクッキングスタジオと連携し、日本の食材をPR!

海外で目にする日本の食材

 2024年4月にクレアシンガポール事務所に赴任してから早くも8カ月が経過しました。時折、夕食のために外出し、現地のスーパーで食材を眺めていると、意外にも日本の食材が陳列されていることに気づきます。また、シンガポールには、「ドンドンドンキ」や「明治屋」といった日系スーパーもいくつかあり、多様な日本の食材が並ぶ光景にはどこか懐かしさを覚えます。

 このように、日本の食材が海外で販売されている様子を目にすると、これらの食材は海外在住の日本人だけでなく、現地の消費者からも一定の人気があることがうかがえます。

 当事務所では、料理教室を通じて、こうした現地に流通している日本の食材に加え、流通していない食材も含めて、その魅力を現地の消費者に伝える事業を実施しています。本稿では、この事業の概要を説明したうえで、今年度の取り組みについてご報告します。

【現地のスーパーで販売されている日本のりんご】

日本の食材を現地の消費者へ

 2017年度から、「料理体験を通じた日本の地方の魅力発信事業」と題し、ABCクッキングスタジオ(以下、ABC社)と連携して、現地の人々に日本の食材に触れていただく機会を提供しているところです。本事業の目的は以下2点です。

 ①日本の食材を実際に消費者自らの手で調理・試食してもらい、その美味しさを実感し、食材をより身近に感じてもらうことで、その後の継続的な購入や口コミによる情報の拡散につなげ、新たな販路拡大・開拓を図る。

 ②あわせて、参加自治体の観光情報を参加者に提供し、物産と観光の相乗効果を目指す。

 具体的な事業内容としては、日本の食材を使用した料理教室を現地で開催し、参加者に食材の説明をしながら、料理方法についてレクチャーを行います。料理が完成した後は、実際にその料理を食してもらい、日本の食材のおいしさを直接消費者に伝えています。

 今年度は、10月4日から27日までシンガポールのABCクッキング高島屋スタジオで、11月1日から30日までタイのABCクッキングセントラルワールドスタジオ、セントラルイーストヴィルスタジオで、日本の食材を使った料理教室を実施しました。

 料理教室では自治体のPR動画の放映やノベルティの配布も行いました。これにより、食材の魅力を発信するだけでなく、観光情報のPRにも努め、日本の自治体の認知度向上につなげているところです。

 また、シンガポール教室では、料理に使用した食材の販売も行ったことで、参加者がその場で食材を購入でき、直接的な販売促進にもつながりました。

【ABCクッキング高島屋スタジオ(シンガポール)】

2024年度の参加自治体

 クレア支部を通じ、全国の自治体に対して当該事業への参加(料理教室への食材の推薦)を募ったところ、今年度は過去最多10自治体からの応募がありました。応募のあったすべての団体から、各地域が誇る魅力的な食材の推薦をいただきましたが、ABC社との協議を重ねた結果、以下のとおり、シンガポール教室およびタイ教室でそれぞれ3自治体の食材を選定しました。

(シンガポール教室)

・青森県十和田市:十和田バラ焼きのタレ

・高知県:ゆずドリンク

・沖縄県:沖縄県産黒糖、もずく

(タイ教室)

・福島県郡山市:ブレンデッドウイスキー 山桜 黒ラベル

・長野県:ぶどう(シャインマスカット クイーンルージュ)

・愛知県:八丁味噌

 当該事業では青果物などの食材そのものだけでなく、タレや味噌といった各地の調味料も応募可能です。

【2024年度料理教室ポスター(シンガポール教室)】

レッスン体験

 10月4日から始まるシンガポール高島屋スタジオでの料理教室に先立ち、9月23日、レッスン内容を国内の消費者にPRするため、シンガポール国内のインフルエンサーを招いた特別レッスンが高島屋スタジオで行われ、当事務所の職員もこちらのレッスンに参加しました。

 レッスンではさまざまな料理工程があり、特に印象的だったのは、ほうとうの生地にもずくを練りこむ作業と、黒糖栗まんじゅうを作る作業です。ほうとうの生地にもずくが練りこまれていき、独特な伸びのある麺ができあがっていく様子は非常に面白かったです。また、栗に白あんをコーティングし、さらにその外側を沖縄県産黒糖が練りこまれたまんじゅう生地で包み、黒糖栗まんじゅうを作っていきました。難しい工程でしたが、ABC社のインストラクターのおかげで滞りなく進めることができました。

 レッスン後は、インフルエンサーの方と一緒にできたての料理をいただきました。牛肉との相性が抜群で思わずお米を食べたくなる十和田バラ焼きのタレ、抹茶ソーダやコールスローにさわやかな風味とアクセントを添えてくれるゆずドリンク、ほうとうに独特の風味や食べごたえを加えるもずく、沖縄県産黒糖のちょうど良い甘さで食後のデザートに最適な栗まんじゅうと、それぞれの食材の魅力が存分に生かされたメニューだったと思います。

【真剣なまなざしで料理に取り組むクレア職員】

日本の食材の販路開拓に向けて

 当事務所では当該事業のほかにも、海外販路開拓に係る情報を収集したり、販路拡大にかかる自治体からの相談を受け、情報を提供したりすることで、日本の自治体の取り組みを支援しているところです。

 引き続き、料理体験を通じた日本の地方の魅力発信事業をはじめ、当事務所では自治体の東南アジアやインド、スリランカでの販路開拓に向けた活動を支援してまいりますので、ご要望がある際はぜひご相談ください。