シンガポール事務所では、外国人旅行者のインバウンドに取り組む自治体の活動の支援と各自治体等の取組みの情報収集を行っています。
2019年8月30日(金)から9 月1日(日)まで3日間、インドネシア ジャカルタで開催された旅行博「Japan Travel Fair 2019」において自治体の活動を支援と情報収集を行いました。
2018年の訪日インドネシア観光客数は396,852人で前年比12.7%増を記録しています。これは、インドネシアの2018年海外旅行者数全体の伸び率7.5%増(975万人)を上回っており、この背景には、経済成長による所得の増加や一定条件でのビザ免除が挙げられます。また、下表のとおり日本にとっての実質的なライバルはインドネシア人の来訪者数の多い中国、タイ、香港、韓国等、東アジア及び東南アジア諸国となっています。
<インドネシアからアジア各国・地域への旅行者数>
(JNTOホームページから引用)
シンガポール等では訪日リピーターが多く、すでにゴールデンルートから地方へ目線が移っていますが、今回の旅行博の来場者の目的地の大半はゴールデンルートでした。各出展者はこのような市場の特性を踏まえたプロモーションを展開しています。
(1)CENTRAL JAPANの例
東京から大阪まで新幹線で移動する手段としてはJRパスがポピュラーですが、中部地方をPRするCENTRAL JAPANのブースでは、一旦名古屋で下車し、名古屋、高山、白川郷、福井、滋賀、大阪に至るルートを3~4泊のバスで巡る商品も紹介していました。このルートを巡る場合、東京-名古屋間の新幹線チケット+バスパッケージの購入が必要となりますが、JRパスを購入するより数千円費用を抑えることができます。また、限られた旅行期間で日本の地方都市を効率的かつ経済的に日本を楽しめるため、このパッケージのチラシを手に取る多くの来場者の姿が強く印象に残りました。
(2)埼玉県川越市の例
埼玉県川越市は電車で東京駅から約50分、池袋駅から約30分で訪れることができ、東武鉄道と連携し、同市までの往復運賃の割引や協賛店の特別サービスの特典の付いたパスを販売しています。また、第二次世界大戦の戦火を免れた伝統的な蔵造りの町並みを都内では体験できないスポットとして差別化しており、東京を拠点にその周辺を巡ることを計画している来場者から好評を得ていました。
(3)ムスリムへ配慮した出展団体の例
インドネシアはムスリムが多数派を占める国家であり、ムスリムに配慮したホテル・飲食店や、水着を着用して入浴できる温泉等について多くの質問がありました。来場者に多くの選択肢を提供できることが望ましいですが、そのためには事前調査・取りまとめ等の財源を要し、また広くムスリムに関する理解を促進し受け入れ体制を構築するための地域との連携が必要です。この点、大学生のボランティアと連携しハラル対応している飲食店等のマップを作成するなど、コストを抑え、かつ地域参加型の取組に繋げている出展団体もありました。
クレアシンガポール事務所では引き続き観光インバンドに取り組む自治体の支援を行うとともに、自治体の観光政策立案の参考となる情報収集・提供に取り組んでまいります。