2020(令和2)年1月22日から24日、久元喜造神戸市長が、地元企業・市会議員団とともに、2019年に「経済交流促進に関する意思確認書」を締結したインド・アーメダバード市を訪問しました。訪問に際し、当事務所が同行しましたので、訪問の様子をご報告します。
〇交流の背景
両市の交流のきっかけは、1995年1月の阪神・淡路大震災に遡ります。同震災の際、世界各地から、多くの温かな支援が寄せられたなか、インドからも多くの救援物資が届けられ、被災地は大変勇気づけられました。
一方、2001年1月、インド・グジャラート州でM6.9の地震が発生し、死者約2万人という甚大な被害が出ました。この災害に対して、阪神・淡路大震災の際に受けたご恩のお返しをしようと、兵庫県では義援金を募り、約1.7億円をグジャラート州に贈呈しました。
また、神戸港を中心として発展してきた兵庫・神戸には、歴史的にもグジャラート出身者を含む多くのインドの方々が在住し、地域の一員として、コミュニティーを形成してきました。(ちなみに、東日本大震災や熊本地震に対して、インド人コミュニティーの皆様から多額の義援金が贈呈されています。)
このようなご縁から、両県州の間では交流が始まり、2016年11月には、安倍首相、モディ・インド首相(前グジャラート州首相)立ち合いのもと、「相互協力に関する覚書」の締結に至りました。
そのなかで、神戸市とグジャラート州アーメダバード市との間でも、相互訪問を行うなど、交流の機運が高まり、2019年6月、モディ首相立ち合いのもと、「経済交流促進に関する意思確認書」が締結され、同年12月には、市長を代表とするアーメダバード市の訪問団を神戸でお迎えし、このたび神戸市がアーメダバード市を訪問することとなりました。
〇アーメダバード訪問の概要
今回、経済交流を促進するため、神戸企業とともに訪問したことから、約200名のグジャラート州・アーメダバード市経済界の関係者が集まるビジネスセミナーが開催され、久元市長による神戸の投資環境等に係るプレゼンテーションを皮切りに、神戸企業や日系企業による進出事例の紹介等が行われ、セミナー後のビジネス交流会では、ネットワーキングや意見交換等が活発に行われました。
また、アーメダバード市ビジャル・パテル市長との交流協議では、インドで初めてユネスコ世界遺産都市として認定された街並みの紹介や、現在市内で取り組みが進む7つの巨⼤プロジェクトのうち、⾼速鉄道建設等の説明を受けた後、両市が「神戸市とアーメダバード市との共同宣⾔」に署名しました。
さらに、グジャラート州最古にして最⼤の⼤学、グジャラート⼤学を神戸⼤学とともに訪問し、同大学幹部と学術交流の促進に係る意⾒交換を⾏った後、神⼾企業のMORESCO社が2019年7⽉に竣⼯した⼯場を視察しました。
〇所感
「経済交流促進に関する意思確認書」の締結、両市トップによる相互訪問という一連の流れのなかで、⼈材交流や⼈材育成の項⽬を含めた共同声明が出されたことは、今後の両市の交流において、大変意義深いものと言えます。訪問の成果をもとに、今後、企業等による経済交流、神戸大学及びグジャラート大学を中心とした学術交流など、様々な分野での交流が深まっていくものと期待されます。
13億人以上の人口を抱え、経済成長著しい大国インドについては、近年、多くの自治体が関心を寄せており、これから地方レベルでの交流が更に活発化するものと見込まれます。それだけに、1973年に中国・天津市と日中で初の友好都市になるなど、自治体の国際交流をリードしてきた神戸市が、インドでどのような交流を展開していくか、注目したいと思います。