シンガポール観光庁が2月14日に発表した、2016年一年間のシンガポールの観光業に関するデータ集計結果によると、2016年のクルーズ業界はクルーズ旅客数が前年比16%増の約120万人(シンガポール人及び外国人)に達しました。そのような中、2月13日(月)に岩手県宮古市長が、マリーナベイ・クルーズセンターを視察訪問しました。宮古市にある宮古港は岩手県で唯一10万トン超の大型客船が寄港できるバースを有する港であり、2018年のクルーズ船誘致を目指していることから、マリーナベイ・クルーズセンターのターミナル等を視察し、今後の参考とするため、訪問したものです。
マリーナベイ・クルーズセンターは、1991年にシンガポール初の国際クルーズターミナルとしてオープンしたハーバーフロントの「シンガポール・クルーズセンター」だけでは、年々増加するクルーズ観光の需要を満たせなくなってきたこと、また、高さが52メートルを超える大型旅客船が停泊できないことなどの問題を解決するために開発され、2012年10月より操業しています。ターミナルの広さは、2 万 8000 平方メートルで、2つのバースを有しており、2隻同時寄港時は、最大6800人もの人が乗船可能です。また、運営は、チャンギ空港を運営している SATS 社と国際的なクルーズ船の運営会社である Creuers del Port de Barcelona S.A.社との合弁会社であるSATS-Creuers Cruise Serviceが行っていますが、建物自体はシンガポール政府観光局(STB)が所有しています。
建物の外観は、「波」をイメージした特徴的なデザインをしており、見る角度により様々な形を表す姿は、まるで移ろいゆく波のようです。
一方、建物の内観は、まさに空港のターミナルのような構造となっており、1 階が到着エリア、2階が出発エリア、3階が待合エリアとなっています。
また、マリーナベイ・クルーズセンターは、その名のとおりウォーターフロントのマリーナベイに位置し、マリーナ・ベイ・サンズやガーデンズ・バイ・ザ・ベイなどのシンガポールを象徴とする観光スポットや金融ビジネス街に近く、抜群に良い立地に位置しています。シンガポールに到着した乗客は、すぐにバスやタクシー、MRT(地下鉄)など様々な交通手段を容易に利用できるため、オーチャードなどの繁華街へも簡単にアクセスすることが可能です。
また、マリーナベイ・クルーズセンターは、チャンギ空港と連携したクルーズフライという海空手荷物輸送サービスを提供しており、これは船のシンガポール到着と同日に出発するフライトのアーリーチェックインがマリーナベイ・クルーズセンターにて行うことができるといったものです。このサービスにより、荷物はマリーナベイ・クルーズセンターから空港に直接輸送されるため、市内観光などを行うにあたり、非常に利便性の高いサービスとなっています。
シンガポールは、クルーズ業界の様々な賞において、上位にランクインするなど、世界的に高く評価されています。これは、先述のとおり、乗客にとっての利便性と快適性を追求したクルーズセンターの運営やサービスが一翼を担っているのでしょう。
日本へクルーズ船で入国した外国人旅客数(訪日クルーズ旅客数)は、2015年に約111.6万人と初めて100万人を突破し、昨年は、前年比78.5%増の約199.2万人へと更に大きく増加しています。この訪日クルーズ旅客数増加の「波」に上手く乗り続けるためにも、乗客目線の運営やサービスが不可欠な要素といえるのではないでしょうか。