境港管理組合は、鳥取・島根両県の県境に位置する境港を管理する一部事務組合(特別地方公共団体)です。
このたび、同組合の議決機関である境港管理組合議会が、世界第2位の貨物取扱量を誇るシンガポールの港湾事業及びクルーズ船に関する事業の調査のため来星しました。
クレアシンガポール事務所では、シンガポールの概要、ASEAN諸国の状況等についてブリーフィングを行ったほか、PSAコーポレーション訪問とパシルパンジャン・ターミナル視察に伴うアポイントメントの取得及び同行支援を行いました。
以下、主な訪問先概要等について報告します。
当初、シンガポール港の港湾整備事業(維持、保全、港内での船舶の運航管理、関連サービス)は、政府が運輸省管轄下の法定機関であるシンガポール港湾庁(PSA)を1964年に設立し、実施されていました。その後、政府部門の民営化を推進する方針に基づき、PSAは1997年に政府が全額出資する株式会社PSAコーポレーションとして新たに発足。この背景として、初期の政府主導によるインフラ整備が終了し、効率的な運営の下、きめ細やかな顧客サービスや海外投資の促進によって、競争力を高めるという目的がありました。PSAの民営化後、海事・港湾業務の監督などの公的機能はシンガポール港湾庁へ移管され、PSAコーポレーションは純粋な港湾サービスの提供を行うこととなりました。現在、PSAコーポレーションは、最先端のIT技術を駆使したサービスを提供することで、港湾事業の高い効率化を図っています。
パシルパンジャン・ターミナルは、シンガポールの港湾の中で最も大きなターミナルです。同ターミナルは最大水深18mのコンテナバースを有し、世界最大級のコンテナ船を収容できる設備を備えています。また、自動車専用のターミナルも有しており、合計2万台の車の保管が可能です。
ターミナルの入口にはゲートがあり、港湾施設内に荷物を搬出入するトラックが通過する際、自動でセキュリティチェックを受けることができます。セキュリティチェックではトラックのナンバープレート、コンテナ番号、重さを確認する作業を行いますが、それら一連の作業にかかる時間はわずか約25秒となっています。また、ゲートを通過した際に、情報がクレーンオペレーターに伝えられ、同時にトラックの運転手にはどのヤードに行けばよいか案内されるなど、効率的に作業を進めることができるように整備されています。
北東アジアのゲートウェイとして重要な役割を担ってきた「境港」は、2011年11月に、国土交通省が外航クルーズの「日本海側拠点港」に選定しました。以来、クルーズ船の誘致や港湾整備を進めた結果、寄港数は2016年に過去最多の33回(2017年は60回の予定)に達するなど、物流・交流拠点としての役割がますます大きくなっています。
2015年度には、「境港ふ頭再編改良事業」により外港竹内南地区貨客船ターミナル整備の新規着手が決定(2019年供用開始予定)し、2016年に供用開始された外港中野地区国際物流ターミナルとともに効果的な運用が期待されています。
2017年3月には、「世界で最も有名な豪華客船」として親しまれるキュナ―ド・ライン社(英国)の「クイーン・エリザベス」が、2019年4~5月にかけて実施する2度の横浜発着クルーズにおいて、函館・青森・秋田・金沢・境港・八代の6つの港に初寄港することが発表されました。今年2月、キュナード・ライン社のティモシー・マシソン寄港地観光商品開発担当部長が鳥取県を訪れた際に、平井伸治知事が境港のトップセールスを行い、山陰の歴史や文化、豊富な観光資源を売り込んだ結果、寄港が実現したとのことです。
クレアシンガポール事務所では、アポイントメント取り付けやアテンドなどのお手伝いをさせていただきました。今後とも自治体の海外活動をサポートしてまいりますので、当地での活動をご検討される際は、是非当事務所までご相談ください。