EROPA(Eastern Regional Organization for Public Administration)とは、アジア・太平洋地域の経済及び社会の発展に資するため、各国の行政の質向上を図ることを目的として、1960年(昭和35年)12月に設立された国際組織です。
会議では、総会(2年に1回)及び執行理事会(原則として1年に1回)が開催されますが、今年は9月11日(月)から15日(金)までの5日間、韓国のソウルにおいて、第26回総会及び第63回執行理事会が開催されました。
EROPAは、国家会員、団体会員及び個人会員から構成されています。事務総局はフィリピンのマニラに置かれ、そのほかに研修センター(インド)、開発経営センター(韓国)、電子政府センター(中国)及び地方行政センター(日本)の4つの専門センターがあります。
「地方行政センター」は自治大学校内に設置されており、同センターの所長は自治大学校長が兼ねています。また、自治大学校は国家会員の日本政府代表となっていることから、EROPAの日本における窓口として活動しています。
クレアは、団体会員となっており、2年に1度実施される団体会員代表選挙にこれまで毎回立候補し代表に選任されていますが、このたび、2018年1月1日から2019年12月31日までを任期として再選出されました。クレアは、日本の行政におけるベストプラクティスに関する知識を共有することにより、EROPAとその会員の持続的な発展に継続的に貢献することを目指しています。
会議では、「持続可能な開発目標の達成における公共ガバナンスの役割:変革、エンパワーメント、ネットワーク構築」というメインテーマに基づいて、フォーラムやワークショップが実施され、参加各国の研究者等が発表を行いました。
12日に中邨章(明治大学)名誉教授の進行により開催されたアジアン・リーダーシップ・フォーラムでは、平嶋彰英(立教大学)特任教授がJリーグのヴァンフォーレ甲府の経営危機を例に、「危機におけるリーダーシップ」について講演し、ヴァンフォーレ甲府の再生を実現させた取組みなどを紹介しました。
13日から14日にかけて行われた分科会には、日本から、上子秋生(立命館大学)教授、菊地端夫(明治大学)専任准教授、西村謙一(大阪大学)准教授及び河合晃一(金沢大学)講師が、またシンガポールから、リー・クアン・ユー・スクールの青木尚美准教授が参加し、研究報告を行いました。
Q&Aセッションでは、参加者から質問が多く寄せられ、地方行政が抱える各国共通の課題に対する日本の研究や取組みに高い関心を持っている様子が窺えました。
今回、この国際会議に出席する機会を得て、アジア各国の最新の研究成果やベストプラクティス、分科会での多岐に渡るテーマを通して、様々な立場で行政のさらなる発展に尽力する専門家の方々の熱意に触れることができました。
国際会議に参加する意義は、様々な実践事例を共有し、他国の思考や視点、あるいはノウハウを吸収し、自国に還元することだと考えられます。我々地方自治体の職員は、彼らの研究に積極的に協力しながら、また彼らの意見を取り入れながら行政の質を向上させていかなければならないと感じました。
また、会場では、限られた時間や場所の運用、学生ボランティアの活用、参加者同士で議論や意見交換を行う時間でもあるコーヒーブレイクや食事の提供方法等、国際会議における“おもてなし”の取組みや工夫を垣間見ることができ、大変貴重な経験となりました。
2018年度のEROPA会議は、「行政の未来:グローバル・メガトレンドのマネージング」をメインテーマに、インドネシアのジョグジャカルタで開催されます。そこではきっと今年以上に熱い議論が繰り広げられることでしょう。