埼玉県に、「農業県」というイメージはあまりないかもしれません。しかし、平坦な地形や温暖な気候、肥沃な土地、災害の少ない自然環境、加えて、東京都心から100km圏内という地理的メリットなどにより、首都圏に安全で新鮮な野菜を供給しています。
埼玉県は、これまでは、「近いがうまい」をスローガンに、主に首都圏で消費される農産物を供給してきましたが、シンガポールを始めとした東南アジア圏をマーケットとすべく、その可能性を探っています。今回、その一環で、初めてシンガポールの伊勢丹スコッツ店で埼玉県産農産物を扱うフェアを開催しました。9/29(金)から10/5(木)まで、生鮮食売り場の一角で、生産高全国1位のねぎをはじめ、梨(彩玉)、さつまいも(ひめあやか、安納芋、紫芋、紅はるか)、さつまいものジャム、やまといも等を販売しました。
シンガポールではさつまいもの人気が高く、伊勢丹スコッツ店においても売れ筋主力商品のようで、「$2.1~$2.9/100g(普通サイズが3~4本で$10程度)」と高い値がつけられていたにもかかわらず、飛ぶように売れていきました。4種類の中では、日本のさつまいもというイメージが強い、体に良いと言われている、ビビッドな色が鮮やかである等の理由から特に「紫芋」の人気が高いことがわかりました。「焼き芋」という形で販売しているお店もありますが、さつまいもを使ったスウィーツは少ないため、その展開も期待されます。
埼玉県は、フェアの開催と合わせて、関係機関を訪問し、シンガポールにおける日本の農産物のマーケット状況について、意見交換を行いました。クレアシンガポール事務所はこの活動の支援を行いましたので、以下情報を共有いたします。シンガポールでは、生で野菜を食べる習慣がないため、周辺国の価格と比べて高いにも関わらず、その質の違いが活きてこない等の理由から生鮮野菜の販路開拓は厳しいのが現状であるという声が多くありました。
一方で、その粘りが理由で納豆が苦手な人向けに、茨城県が開発した「粘らない納豆」が注目されていることから、プラスαの価値観を付けることで、その可能性が広がることもあることがわかりました。すなわち、付加価値のある提案や、しっかりとしたブランディングが、厳しい市場の開拓に必要不可欠であると言えます。