11月10日(金)から19日(日)にかけて、マレーシア・クアラルンプールの伊勢丹Lot10店でクレアが開催した「日本ふるさと名産食品展」にあわせ、マレーシア・ベトナムの日本の食品の流通状況などについて調査を行いました。
マレーシアでは、クアラルンプール国際空港から車で15分程度の距離にある三井アウトレットパーク内の「FAN JAPAN SHOP」を訪問し、五木田代表取締役から、日本製品を売る際のちょっとした工夫についてアドバイスいただきましたので、紹介いたします。
FAN JAPAN SHOPには、食品、化粧品、伝統工芸品など様々な日本のものを取り扱っており、その数は3000アイテム以上にのぼります。
全体の商品に対し、食品の占める割合は4割ほどで、圧倒的に北海道ブランドが人気が高いとのことでした。店舗には、ある程度保存の効く佃煮のりや鮭のフレークといった加工食品などが多く取り揃えられていました。これらを日本人が見ると、あったかいご飯の上に一切れのせたらおいしいだろうなとか、おにぎりの具に使おうかなと感じる人が多いと思います。しかし、佃煮のりや鮭フレークを食べたことどころか見たこともない外国人が、店頭に置いてあるこれらの商品を見て、同様に思うでしょうか。また、ご飯と一緒に食べるとしても、どの程度の量をご飯と一緒に食べればよいのかということも、当然わかりません。
そのため、外国で食品を販売する際には、食べ方の説明や使用方法などを商品のパッケージに記載するといった工夫をしたほうがよい、とのことです。確かにスーパーなどでは一般的に、商品は陳列されているだけなので、食べ方を知らない人はあまり手に取らないでしょう。
改めてアドバイスいただくと、生活に密着している“食”では日本人にとっての常識が海外では通用しないことに、特に注意する必要があると感じました。
手間とお金をかけて自慢の食品を海外で販売する以上、海外の消費者の目線に立って、本物の美味しさを感じてもらえるようにする工夫が大切だと痛感しました。
つづいて、11月12日(日)から13日(月)にかけて、ベトナムのホーチミン市を訪問しました。ホーチミン市では、イオン・ビンタン店、イオン・タンフーセラドン店、髙島屋ベトナムを訪れました。
ベトナムでは今年ようやく梨の輸入が解禁となり、イオン・髙島屋両店舗での販売が開始されましたので、このことについて報告します。
イオンでは、8月から日本の梨の販売を開始し、オープニングイベントとして生産地3県それぞれのフェアを行いました。担当の方の話によると、フェア自体は盛況だったものの、ベトナム人にとっては、日本の自治体名は馴染みがなく、産地名はなかなか認識してもらいにくいので、むしろ、自治体ごとではなく、JAPANブランドで統一したほうが販売しやすいとのことでした。その点、韓国はKOREAブランドで販売しているため、ベトナム人にも分かりやすいとのことでした。
実際に梨の販売は、少々苦戦しているようですが、これから徐々に浸透していくのではないかと期待されています。リンゴのように品種が多ければ、選ぶ楽しさもあるのですが、梨は収穫時期により1種類しか店頭に並ばないため選択肢がない以上、価格面でもほかの果物と比べ高価であるため、なかなか手に取ってもらいづらいとのことでした。
一方、髙島屋ベトナムでは、店頭に並べてから2日間で完売。1つ600~700円する梨が飛ぶように売れたとのことで、欲しい人は高くても買うとのことでした。
客層の異なる店舗を訪れたことにより、中間層から富裕層が増加しているという現状を実感する反面、一方で日本の梨は中間層以下の家庭においてはまだ高嶺の花であり、一般家庭に広めるためには、さらなる販売促進と時間が必要であると感じました。
この点で、イオンの担当者が次のように話されたのが、とても印象に残っています。「少し前、ニュージーランドからキウイフルーツという見慣れない果物が輸入され、いつの間にか日本の食卓で普通に食べられるようになった。自分もそのような形で日本の産品をベトナムの家庭に普及させたい。」
日本の各自治体ではそれぞれの地域の特産物の海外への販路開拓に力を入れています。それは地域活性化のためには確かに必要なことですが、海外での売り込みを考えた場合、自治体名を前面に出すのではなく、ましてや自治体同士で競い合うことはせず、まず『日本産』であるということをPRする必要があるのではないかと今回の調査で考えさせられました。