11月3日(金)に、タイのバンコクで、政策研究大学院大学(GRIPS)と国際協力機構(JICA)が提供する「政策連携強化プログラム(SPRIプログラム)」を通じて、日本の市町村合併の調査を行っている、タイ内務省地方自治局職員の研究発表会が開催されました。
SPRIプログラムとは、ASEAN諸国を中心とした国の省庁等で政策立案の中心的役割を果たす職員が、2年の研修期間で、各自が設定したテーマに関し、日本の自治体への訪問調査などを実施しながら、自国の施策への参考となる研究を行うというものです。
今回のテーマである市町村合併について、日本は市制・町村制が公布された1888年から現代まで、大きく3回の大合併を行ってきました。1888年当時、47都道府県71,314市町村であったものが、2017年現在、47都道府県1,718市町村となっています。
一方、タイには現在約7,850もの地方自治体が存在しており、その多くが小規模で、財政的に住民への行政サービスを十分に提供できないことが課題となっています。このような背景から、政府としても地方自治制度の見直しに大きな関心を寄せており、今回内務省職員が日本の自治制度を学び、それをタイの施策の参考とするため、SPRIプログラムに参加しているとのことでした。
参加者からは、市町村合併に関する意見や質問が数多く寄せられました。その多くがタイ政府が推し進めようとしている政策としての市町村合併の趣旨に賛同しているようでしたが、合併後の職員定数の削減や、合併へのインセンティブなど、不透明なところがあるため、タイ政府に対して、粘り強く、そして明確な説明を継続してほしいといった要望が挙がっていました。
日本とタイとでは行政システムや経済規模をはじめ異なる点は多くありますが、タイ政府職員が日本の行政システムから何を学び、そしてそれをどのようにタイに即した制度とするのか、今後の動向が注目されます。