富山県では、国際的な視野を広げ、明日を招く豊かな青年の育成を図ることを目的として、富山県高等学校生徒海外派遣事業を行っています。例年、マレーシア、シンガポール、台湾を訪問し、現地の学生との交流や、ホームステイ等を実施しています。
今年も同事業により富山県内の高校生がシンガポールを訪問し、当事務所においても在シンガポール日本大使館へのアポ取り及び同行、事務所でのブリーフィング、シンガポール国立大学(NUS)への同行等の支援を行いました。
1 シンガポール国立大学(NUS)学生との交流
今回、富山県はNUSのJapanese Studies Society(JSS)に所属する学生と高校生との交流プログラムを実施しました。JSSは学生によるシンガポール案内も実施しており、日頃からシンガポール事務所とは良好な関係を維持しています。
当日は富山県内の高校生20名と、JSSの学生5名が参加しました。日本語研究学科長のタン・レンレン准教授のあいさつに続き、JSSの学生がNUSでの学生生活を紹介するプレゼンテーションを行いました。高校生たちは、NUSでの勉強がハードであること、また学生の日本語の堪能さに驚いていました。
続いて、高校生による富山県の紹介プレゼンテーションが行われました。生徒たちは2つのグループに分かれ、1つ目のグループは富山県の県花であるチューリップや富山県出身の漫画家、藤子・F・不二雄とドラえもん等についてクイズ形式で紹介し、2つ目のグループは富山の祭りについて紹介した後、実際に富山の民謡こきりこ節を披露しました。その後、それまでの研修日程の中で学んだことやシンガポールへの印象、NUSでの授業や生活、日本語や日本文化を学ぶきっかけ、シンガポールの環境政策や教育について、英語や日本語で意見交換を行いました。
最後に、NUSの学生によるキャンパスツアーに出かけました。案内してもらった「Utown (University Town)」は、校舎に加え、寮やカフェテリア、コンビニ、生協、自習室、パソコンルーム、スポーツジム、プール、ATMなどを完備するキャンパスで、充実した設備に高校生たちは目を輝かせていました。
最初は恥ずかしがって話そうとしない高校生も見られましたが、2時間30分のプログラムが終了する頃にはすっかり打ち解け、連絡先を交換し、写真を撮るなどして離れがたい様子でした。
2 習うだけでなく自らのことも語る
今回、富山県の高校生は、シンガポールの環境や教育などテーマを決め、しっかり事前学習をして研修に臨みました。そのため、JSSとの交流でも学生に的を射た質問を投げかけ、シンガポールの生活、政策について理解を深めていました。それだけではなく、富山の紹介についても多くの話題と発表資料を準備し、シンガポール人学生の関心を惹いていました。このような周到な事前準備のおかげで、有意義な交流となり大きな成果を挙げることができたのではないでしょうか。相手から学ぶだけではなく、自らのことについても十分に語ることができると、互いの満足度が高まります。また、互いの違いについても気づきが生まれ、さらに話題が深まることが期待できます。学生交流を実施する際の心構えとして非常に参考になる事例でした。