クレアシンガポール事務所は7月25日にインドネシアのジャカルタ市内にあるインドネシア国家行政院(NIPA)との共催で、インドネシアの自治体職員向けに「日本インドネシア知識交流セミナー」を開催しました。テーマは「リーダー主導の地域循環型経済の構築」とし、日本とインドネシア双方のベストプラクティスについて紹介し合うと共に、参加者同士でも積極的に意見交換を行いました。
セミナーの前半は日本・インドネシア双方2名ずつの講師による講演、後半はグループに分かれてのディスカッションという構成で開催しました。
日本側からは、岡山県真庭市と高知県馬路村の職員を講師としてお招きしました。岡山県真庭市の職員は間伐材や製材端材を使った木質バイオマス発電など、豊富な木質資源を余すことなく利用し、持続可能な街づくりを進める取組を紹介しました。また、高知県馬路村の職員は、地域資源である柚子を活用した地域活性化について、イメージ戦略に基づいたPRを行い、柚子の加工品の開発と販売商品のブランド化を行うことにより、柚子栽培をいかに高付加価値農業へ育ててきたかについて、独自の取組を説明しました。講演中も大きな感嘆の声が上がるなど、参加者も熱意を持って講義を聞いていました。
また、インドネシア側の講師としては、村落途上開発地域・移住省の局長と、ジョグジャカルタ特別州バントゥル県の副知事が登壇し、インドネシアにおいてリーダーシップを発揮して地域経済の活性化につながった例として、農産物等の生産者が通信販売等のICTを活用して直接消費者に販売することにより、中間マージンが無くなり、利益拡大につながった事例や、資源のリサイクル化を進めることで、原材料費の節約を行った事例などの紹介がありました。
講演後には、講師と参加者がより深みのある意見交換ができるよう、講演者を中心に4つのグループに分かれ、それぞれの講演内容等について講演者と参加者がディスカッションを行いました。参加者はインドネシアの状況と日本の状況等を比較しながら、講演の内容について質問や意見交換を積極的に行っていました。特にインドネシア側の参加者は環境保護への意識が高く、環境に関する内容の質問が多かったことが強く印象に残りました。
そして、グループディスカッションの後に行われた閉会式では、各グループの代表者がそれぞれ話し合われた意見を他の参加者にも紹介をすることで、参加者全体での情報共有が図られるなど、本セミナーは非常に充実した内容となりました。
2018年は日本とインドネシアとの国交樹立60周年であり、日本とインドネシアが相互に知識を共有するという目的の本セミナーも、60周年記念事業の一つとして認定されました。今後も両国間での地方行政に関する協力関係が継続されることが期待されています。