平成29年の中国地方5県(島根県、鳥取県、岡山県、広島県、山口県)におけるシンガポール人の延べ宿泊者数は約2万2千人で、前年比で約2.5倍となりました。 このように訪日旅行者が増加しているシンガポール市場に向けて、中国地方の観光資源の魅力をさらにPRするとともに、中国地方への旅行商品の造成と販売促進をシンガポールの旅行会社に働きかけるため、7月31日に中国地方5県の広域観光プロモーション「中国地方インバウンドフォーラム」(主催:中国地域観光推進協議会、中国運輸局)がシンガポールで初めて開催されました。 クレアシンガポール事務所もこのフォーラムにお招きいただき、意見交換等を行いましたので、その内容を紹介します。
観光情報説明会は、シンガポール国内の旅行会社を対象に、中国地方の観光スポットやシンガポールからのアクセス方法などを紹介するもので、約50人の旅行会社関係者が集まりました。 各種PRの中でも、平成29年10月に就航したシルクエアーの広島直行便によるアクセス利便性向上は強調され、広島空港をゲートウェイとした中国地方全体を旅するモデルコースが紹介されました。 また、6月末から7月上旬にかけて起きた西日本豪雨の影響にも触れ、「復旧は進んでおり、現在では中国地方の主要観光地は通常営業を再開した」と、安心して旅行ができることが呼びかけられました。
観光情報説明会の後、中国地方5県の代表者と、JNTOシンガポール事務所、クレアシンガポール事務所、在シンガポールの日系旅行会社2社との間で、訪日旅行に関するシンガポール市場の動向についての情報交換を行いました。 その中では、以下のような「シンガポール市場の特徴」や「シンガポールにおける自治体の観光誘致活動」、「東南アジアで観光プロモーションを行う上での注意点」が挙げられました。
・ 昨年の訪日旅行者は延べ約40万人。
・ 成熟市場に入りつつあるが、2012年以降、訪日旅行者は毎年10%以上増加。
・ 訪問先の主流は「ゴールデンルート+北海道」であるが、分散化も進行。
・ 中国地方のインバウンド促進では、シルクエアー広島直行便の定着化がカギ。
・ 鳥取県の海産物、岡山県のフルーツといったように、いくつかの自治体は「食」を切り口として、食材の販路拡大と食材
観光誘客を効果的にPRしている。
・ クレアでも、料理教室「ABCクッキングスタジオ」と連携し、各自治体の特産品を用いた料理体験を通じて、地方の魅
力を発信している。
・ 旅行者は他国(日本)の歴史にそれほど関心を持っていない。
⇒ それよりも、自分が被写体に入り込みたいと思わせる景色、食べたいと思わせる食事、体験したいと思わせるアトラク
ションを。
・ 自治体名を前面に出しても、旅行者はそれが何処にあるか分からない。
⇒ 自治体の枠を越えた観光地間の連携(点から線、線から面)や、旅行商品と連携したプロモーションを。
・ 言語が一緒でも、国によってニーズやトレンドは異なる。
⇒ 現地の人が働く現地の事業者との連携し、各国のニーズにマッチした言語・フレーズ・写真でのプロモーションを。
今回は中国地方の広域観光プロモーションを紹介しましたが、その中で得られた「自治体の枠を越えた観光地間の連携」や「各国のニーズにマッチしたプロモーション」といった注意点については、全国の自治体でも参考になるのではないでしょうか。 クレアシンガポール事務所では、これからも様々なイベントを取材し、最新の情報を発信していきます。