クレアシンガポール事務所は7月5日(木)・6日(金)の2日間、タイ内務省自治振興局及び日本国総務省との共催で、タイの地方自治体関係者約300人を対象に「日本・タイ地方行政ジョイントセミナー」を開催しました。
タイの地方自治体が直面している「地方の総合計画策定過程における住民参画」「家庭におけるゴミの削減」「小学校における社会規範教育」の3つの地域課題をテーマに、神奈川県小田原市、大分県大分市、バンコク日本人学校から講師をお招きし、日本の先進事例を発表いただきました。
いずれの参加者も熱心に発表に耳を傾け、質疑応答では予定時間を超えるほど多くの質問や意見が寄せられことが、大変印象的でした。 また、タイの講師によるパネルディスカッションや、日本の講師と参加者によるワークショップも併せて実施し、経験・知識を幅広く交換することで、本セミナーは日本・タイ両国の参加者にとって充実した内容となりました。
発表の合間や休憩時間などセミナー全体を通じて日本の講師とタイの講師・参加者との交流も盛んに行われており、今回のセミナーがタイの地域課題解決の一助となることはもとより、今後の日本・タイの地方自治体間交流につながっていくことが期待されます。
〇神奈川県小田原市:テーマ「地方の総合計画策定過程における住民参画」 タイでは、地方自治体が総合計画を策定するに当たり、要望の把握や情報共有などの観点から策定過程に住民が参画することとなっていますが、現在のところ住民の関心は低く、住民参画は進んでいない状況となっています。 小田原市からは、「第5次小田原市総合計画『おだわらTRYプラン』」の策定過程で取り入れている、無作為抽出による市民討議「おだわらTRYフォーラム」、 住民自らが自分たちの暮らす地域の将来像を定めた「地域別計画」の策定プロセスなど、持続可能な市民自治の実現に向けた事例を発表いただきました。
〇大分県大分市:テーマ「家庭におけるゴミの削減」 タイの地方自治体ではゴミの削減が大きな課題となっており、その課題解決の第一歩として、家庭での3Rや適切な分別の促進が重要であると考えられています。 大分市からは、3Rをさらに一歩進めた「4R(リフューズ・リデュース・リユース・リサイクル)」の取組、この4Rを推進するための周知・啓発活動など、循環型社会の実現に向けた事例を発表いただきました。
〇バンコク日本人学校:テーマ「小学校における社会規範教育」 タイでは、子どもたちの社会規範意識を育むに当たり、学校や家庭でどのように教育を行っていくべきか検討が行われています。 バンコク日本人学校からは、学校・家庭・地域が協力して行っている日本の社会規範教育の事例を、タイの学校教育との比較を交えながら、分かりやすく発表いただきました。