香川県国際交流室の職員が8月17日(金)から19日(日)まで開催されたシンガポール旅行フェア「NATAS」へ参加するため来星しました。またこの機会にあわせて現地日系旅行会社を訪問し香川県のPRをするとのことで、クレアシンガポール事務所では自治体が行う観光誘致活動や販路開拓活動についてブリーフィングを行うとともに、訪問先のアポイントメントの取得と同行支援を行いました。
1.香川県のPR内容(瀬戸内国際芸術祭2019及び県内観光スポット)
今回、香川県が用意したPR素材は来年行われる瀬戸内国際芸術祭と近年人気のある県内の観光スポットの情報です。
(1)瀬戸内国際芸術祭2019
瀬戸内国際芸術祭は、3年に一度瀬戸内海の島々を舞台に行われる芸術祭で、2019年は春、夏、秋の3シーズンに分け、延べ107日間かけて行われます。瀬戸内海にある12の島と2つの港をアート作品の舞台とし、何もない日常の景色にアート作品を配置することにより、期間中は至るところで芸術家の作品に触れることができます。
3年前の前回は延べ104万人の方が来場。そのうち3割(約30万人)が外国人で、アジアからは20万人(主に韓国・台湾)、オーストラリアや欧米系の国々から10万人の観光客が来場したとのことです。2019年も同等かそれ以上の方々に来ていただきたいと考えており、大阪や京都に行かれた経験のある方のNext Destinationとして、広島へのシルクエア就航を契機に、多くのシンガポ―リアンに来ていただきたいと考えています。
(2) その他の県内観光地について
〇三豊市父母ヶ浜の鏡張り
香川県三豊市にある父母ヶ浜は、遠浅の海岸のため、引き潮の時は波の影響を受けない水溜まりがたくさんできます。ここでは5割から6割程度の確率で鏡張りが見られ、写真撮影の場所として人気があります。
〇高松市の栗林公園
香川県高松市に所在し、国の特別名勝に指定された日本庭園。県立の都市公園(歴史公園)として運営されています。
〇琴平町のうどんダンシング
香川県琴平町には、年間約300万人が訪れる金刀比羅宮(ことひらぐう:通称「こんぴらさん」)があります。この参道入口付近に、讃岐うどん作りを体験できる学校があり、音楽に合わせて足踏みをする“うどんダンシング”が人気となっています。参加者の国籍に応じて異なる音楽を流すことも可能です。
〇観音寺市の寛永通宝
観音寺市には、東西122m、南北90m、周囲345m、深さ2mにわたる巨大な「寛永通宝」の砂絵があります。砂絵を整備する「砂ざらえ」は市民ボランティアによって行われています。この砂絵を見ると宝くじに当たる(お金に不自由しない)と言われており、ラッキースポットとなっています。
(2)Follow Me Japan PTE. LTD.への訪問
香川県の担当者より観光PRを行い、意見交換を行いました。Follow Me Japan社からの意見は以下のとおりです。
〇瀬戸内国際芸術祭については過去訪れたことがありますが、来場者数はもっと伸びてもよいと思います。それだけ魅力のある芸術祭だと感じました。
〇うどんダンシングはネーミングが良いと思います。シンガポールでは健康志向がブームなので、シンガポーリアンにも楽しんでもらえそうな取組みだと感じました。
〇寛永通宝はインパクトもあり、中華系の方にウケがよさそうです。宝くじに当たるといったストーリーがあるのも良いと思います。
〇観光地は実際に行ってみないと分からないので、まずは行って体感してみることが重要です。一般的な話ですが、受入側が提供したいものとお客様が欲しがるものの間にギャッ
プがあることがあるので、その見極めが大事です。ただし、日本への観光において一番の強みは「人」だと思っています。
〇今年の建国記念日にリー・シェンロン首相が「これからは健康が重要である」というスピーチをされました。今後も健康志向の流れは続くと思いますので、グランピング※は流
行してくると思います。
〇本年10月にシンガポールの重要な顧客を栗林公園にお連れします。彼らはリー・クアンユー首相がシンガポールを建国された際にサポートされた重鎮の方々で、全員がオック
スフォードやケンブリッジといった名門を卒業されています。シンガポール人は歴史への興味が薄いと言われますが、彼らは歴史への造詣が非常に深い。今回、香川県の方にこう
して来て頂けたのは本当にありがたく思っています。今後ご相談させていただければと思います。
※グランピング:「グラマラス(Glamorous)」と「キャンピング(Camping)」を掛け合わせた造語で、ホテル並みの設備やサービスを利用しながら、自然の中で快適に過ごすキ
ャンプのこと。)
(3)JTB Pte Ltd ASIA PACIFIC HEADQUARTERSへの訪問
香川県の担当者より観光PRを行い、意見交換を行いました。JTBアジア・パシフィック社からの意見は以下のとおりです。
〇シンガポールの方々は動きが速いので、既存のゴールデンルートに加え、新たな旅行先を求める方々が出てきており、今後も増えると予想しています。香港のようなFITの成熟
市場では旅行先の多様化が顕著であり、シンガポールも多様化が進むのではないかと見込んでいます。そうした際に香川などにもチャンスがあるのではと思います。
〇お客様の傾向としては食に対するこだわりが強く、人気なのは花と雪。日本の四季折々の風光明媚な景色はシンガポ―リアンには魅力的に映るようです。
〇瀬戸内国際芸術祭2019についてはシンガポ―リアンに受けはいいと思います。
〇「四国」という単語が浸透してきている感があります。四国のどこに泊まるべきか、どのルートでどこを訪問したらよいかという相談を受けることもあります。香川県において
は何が他の県と違うのかという部分を我々も明確に伝えるのは難しいと感じていたところで、こうして生の説明を受けられるのはありがたいです。
(4)まとめ
今回、観光PRのため来星した香川県の職員は、県内の観光スポットについて知り尽くしたエキスパートであり、各旅行会社への営業が非常に上手く、また先方からの質問に対しても的確に回答していました。
シンガポールでは8割以上の旅行者がFIT(個人旅行)を選択する中で、旅行フェアに出展し、消費者にPRすることも重要ですが、今回のように現地の旅行業者を直接訪問し、地域の魅力を発信することは、旅行会社が持つ重要顧客に対し、間接的ではありますが、継続的に情報を発信してもらうという意味で大変重要だと感じました。このような自治体の取り組みが、今後も注目されます。