2018年、日本とインドネシアは国交樹立から60年という節目を迎えました。1月にジャカルタで開催されたオープニングイベント及び開会式を皮切りに、インドネシア各地で、そして日本国内でも、年間を通じて数多くの関連イベントが開催されています。
インドネシアは近年経済成長が著しく、都市部を中心に生活水準が急速に高まっていることを背景に、市場としての魅力が高まっています。訪日観光誘客のターゲットとして自治体の注目も集まっており、JETプログラムにおけるCIR(国際交流員)の活用も増加傾向にあります。
そこでクレアシンガポール事務所では、高知県や東京都豊島区などと連携して「日本村(自治体フェア)」にクレアブースを出展し、観光PRや日本文化の紹介を行ったほか、在インドネシア日本国大使館と連携して元JET参加者によるJETAAインドネシア支部の設立を支援しました。合わせて、京都府との友好提携州であり、また山梨県と友好協定に係る覚書を締結しているジョグジャカルタ特別州を訪問して意見交換を行いましたので、その様子をご報告します。
「日本村(自治体フェア)」は、国交樹立60周年記念事業の一つとして行われた、日本各地の観光資源や伝統文化などを発信するイベントです。9月14日(金)から30日(日)の約2週間、インドネシア・タンゲランにあるイオンモールBSDシティで開催され、クレアシンガポール事務所のほか21自治体がブース出展又は資料出展、ステージイベントといった形態で参加しました。
クレアシンガポール事務所は、14日(金)から20日(木)にブース出展し、各地の観光PRや伝統文化の紹介(浴衣の試着・けん玉・七夕・折紙)を行いました。このうち15日(土)と16日(日)は高知県・東京都豊島区と共同ブースを展開し、高知県による柚子ジュースの試飲や、豊島区によるアート・カルチャーイベント(アニメやコスプレなど)の発信と相まって、子どもから大人まで幅広い年代の方に来場いただきました。
また、沖縄県や宮城県仙台市などと連携し、ステージイベントにも参加しました。各地の伝統文化の紹介として、在インドネシア沖縄県人会には三線と沖縄民謡、在シンガポール仙台すずめ踊り団体には仙台すずめ踊り、そしてインドネシア大学には盆踊りを披露いただき、会場は大変盛り上がりました。
来場者からは「同じ日本でもたくさんの地域があり、それぞれ特色があることを知ることができた。ぜひ各地を訪問してみたい」といった感想が寄せられるなど、日本村を通じて日本の地域の魅力を幅広く伝えることができました。
今回の日本村をきっかけに、インドネシアで日本の地域への関心が一層高まり、訪日観光客の増加につながっていくことが期待されます。
インドネシアからは、1998年以降、CIR(国際交流員)として13名、SEA(スポーツ国際交流員)として3名、計16名の方々がJETプログラムに参加しています。元JET参加者の人数はまだそれほど多くはありませんが、スラバヤ市で毎年開催されている「スラバヤよさこい祭り」のサポートを元高知市CIRが行うなど、日本とインドネシアの交流の懸け橋として積極的に活動を続けています。
そのような背景もあり、国交樹立60周年に当たる2018年に、日本とインドネシアの絆の象徴としてJETAA(元JET参加者の会)を設立すべく、元JET参加者、大使館、クレアの三者で準備を続けてきました。そして9月18日(火)、駐インドネシア日本国大使公邸で開催された設立記念レセプションにおいて、石井大使、当協会の岡本理事長、日系機関関係者など多くの関係者が祝福する中、Doddy Alfero会長が高らかにJETAAインドネシア支部の設立を宣言しました。
今後JETAAインドネシア支部は、新規JET参加者や帰国JET参加者のサポートのほか、インドネシア各地での日本文化の紹介などを行う計画です。Doddy会長の宣言どおり、JETAAインドネシア支部が日本とインドネシアの懸け橋となり、また、インドネシアにおけるJETプログラムの促進に貢献することにより、両国の絆がさらに強くなることが期待されます。
9月17日(月)にはジョグジャカルタ特別州を訪問し、岡本理事長が州知事であるハメンク・ブオノ10世閣下を表敬しました。会談では京都府や山梨県といった日本の地方自治体とジョグジャカルタ特別州との交流等について、積極的な意見交換が行われました。農業・漁業分野での新たな自治体間交流の可能性に言及されるなど、州知事は日本に対する深い見識と強い関心をお持ちであり、ジョグジャカルタ特別州と日本の自治体との関係が今後ますます深化することが期待されます。
また、表敬後には、ジョグジャカルタ特別州内にあるロイヤルシルク財団の工房を訪れ、インドネシアの伝統的な特産品である「バティック」と京都府の西陣織がコラボレーションしている現場を視察しました。ともに歴史の深い古都同士が、互いの持ち味を活かしながら織りなす美しい生地には、両国の深い結びつきが体現されているように感じられました。国交樹立60周年という記念すべき節目を迎えた日本とインドネシアも、この生地のようにそれぞれの良さを活かした関係が続いていくよう、クレアとしても活動を続けていきたいと思います。
国交樹立60周年を機に両国の親善と相互理解がさらに深まるとともに、自治体間の新たな交流につながっていくことを願ってやみません。
当事務所では、引き続き、在インドネシア日本国大使館をはじめとする日系機関と連携するとともに、現地の最新情報を発信してまいります。