9月10日(月)・11日(火)にベトナム中部にあるフエ市において、日本国総務省とベトナム社会主義共和国内務省共催の「日本-ベトナム地方行政セミナー」が、レ・ビン・タン内務大臣御臨席の下開催され、両国の中央政府及び地方自治体関係者約100人が集まり、「大都市における地方行政」について、取組事例の発表や意見交換を行いました。
昨年度も、ハノイにおいて同様のセミナーが開催されましたが、前回に引き続き、クレアシンガポール事務所はASEAN地域を所管する現地事務所として、総務省のサポートを行いました。
セミナーでは、初めに日本国総務省とベトナム内務省からそれぞれ基調講演が行われました。総務省大臣官房総括審議官は「日本の地方行政の概要」をテーマに、日本の地方自治制度や地方財政制度について、ベトナム内務省地方自治局長は「都市部における地方自治体改革の要求に応える、2015年の地方行政組織法に基づく地方自治体の組織及び運営について」説明を行いました。
その後、2日間にわたって、日本側2名、ベトナム側4名のスピーカーによる事例発表が行われました。
日本側は、札幌市の「都市部における自治体の管理の効率化、組織体制と運営」と、鹿児島県の「県と管内市町村の事務の分担、市町村間の広域連携等について」の2つの事例を取り上げ、発表しました。札幌市の事例については、開催直前に発生した北海道胆振東部地震の対応のため発表予定であった同市経済観光局産業振興部長の出席がかなわず、急遽総務省国際室長が代理で発表を行いました。
一方、ベトナム側は、元内務省地方自治局長、元国家組織科学研究所副所長、元ハノイ内務大学副学長、ベトナム国家行政学院准教授が、都市部における地方行政の現状や課題、解決策について、それぞれの見地から発表を行いました。
いずれの事例発表でも、参加者は熱心に聞き入っており、発表後は時間の限りまで、スピーカーへ質問が投げかけられていました。札幌市の事例発表に対しては、「市町村間の連携」について質問がされ、連携中枢都市圏構想などに触れながら説明がなされました。また、発表の中で県内の合併状況、県と県内市町村の事務分担、連携に向けた取組に触れた鹿児島県総務部市町村課課長補佐に対しては、「合併による住民の生活水準や行政サービスの質の向上といった効果」や「市町村合併後の課題及び対応策」などについて具体的な質問が上がりました。
ベトナム政府も市町村の合併を目指しており、地方自治体の合併や運営における日本の経験、ベストプラクティスを学びたいという強い意欲と、行政改革に本気で取り組んでいくという強い意志を感じました。
クレアシンガポール事務所では、所管国の地方自治制度について調査を行っております。引き続き、ベトナムの地方行政について動向を注視し、調査を進めてまいります。