2018年11月6日から11月11日にかけて、秋田県の佐竹敬久知事がマレーシア・クアラルンプール及びタイ・バンコクを訪問しました。マレーシアでは秋田県内の若手経営者とともにマレーシア投資開発庁やマレーシア工業開発銀行等を訪問して、県内企業のマレーシアへの進出の可能性について意見交換を行いました。タイでは、昨年に引き続き「秋田牛」のプロモーションを行ったほか、秋田の夏の祭り「竿燈」の実演を行うなどタイの方々に秋田の魅力を発信しました。その概要を報告します。
マレーシア投資開発庁(MIDA)は、マレーシアの製造業・サービス業の促進を担う政府機関であり、外国企業が製造工場を設置するときのライセンス取得の申請書処理や税制優遇措置の処理(減免税)、駐在員の申請など、海外投資家がマレーシアに投資を検討する際の最初の窓口となります。マレーシアでは、製造業とサービス業において、海外外国企業が進出する場合に100%外資が認められています。さらに、投資による収益に持ち出し条件はなく、全て日本に持ち帰ることができるほか、法人税の免除など各種税制優遇措置があります。駐在員の雇用にも柔軟に対応しており、管理者や技術者のVISA取得は容易で、外資が進出しやすい環境と言えます。政府は、今後、化学、電子・デバイス、医療機器などのほか、e-コマース、物流、クリーンエネルギー、廃棄物処理分野の投資を進めていくとのことです。マレーシアは、地理的にASEANの中心に位置しており戦略上有利なうえ、6億6千万人の市場規模を持っています。日本では、東京と大阪にMIDAの事務所を設置して、マレーシアへの進出に関する相談や情報提供を行っています。また、マレーシア工業開発銀行は、1960年にマレーシア初の開発銀行として設立されました。主に中小企業を中心とした製造業のための金融機関であり、①債務資本における活動(投資)②中小企業への融資(開発金融)③資産管理④不動産開発融資を行っています。日本の中小企業がマレーシアに事業展開をする場合にも支援可能とのことです。
昨年に引き続き、バンコクのサイアムアットサイアムデザインホテルで、レストラン関係者等を対象に秋田牛のプロモーション試食会がありました。当日はホテルシェフによる秋田牛のサラダやサティが提供されましたが、いずれも人気が高く、提供された料理はすぐになくなってしまいました。また、会場には秋田の地酒や大根を燻して漬けた「いぶりがっこ」が並びました。いぶりがっこと日本酒は現地の方々の口にも合うようで、日本酒を片手にいぶりがっこを摘まむ姿が多く見られました。バンコクでは、日本の食材は日系スーパーで買えるようですが、新たに日系の総合ディスカウントストアができるとの情報があり楽しみにしているという来場者もいました。
今年は、食のプロモーションのほか、バンコク市内のモールで観光プロモーションも行われました。当日は秋田の夏祭りの代表である「秋田竿燈まつり」の実演が行われ、お囃子とともに竿燈の演技が始まると手のひらだけではなく、額や肩、腰で竿燈を上げる姿に会場は大きな歓声と拍手で盛り上がりました。演技が終わった後には、竿燈を間近に見たり、差し手と呼ばれる演技をした方と写真を撮ったりしている来場者も多数いました。
秋田県ではこれまでタイを中心に教育分野やスポーツ交流を推進してきております。今後は、タイの隣接国との交流やASEAN地域への進出を狙う若手経営者等の育成による経済交流の拡大・拡充が期待されます。