2018年11月26日~28日にかけて、宮崎県都市計画課所属の建築職の職員がシンガポールを訪れ、都市計画や緑化政策、住宅政策を担当する政府関係機関の職員と意見交換を実施しました。また、シンガポールを代表する観光地でもあるGardens by the Bay とシンガポール唯一の世界遺産にもなっているSingapore Botanic Gardensも訪問し、関係者から説明を受けた後、園内を視察しました。クレアシンガポール事務所では一部訪問先へのアポ取り及び同行支援を行いました。
シンガポールには、高層の建物やデザイン性に富んだ建築物なども数多く存在しますが、「街中に緑が多い」ということも特徴として挙げられます。シンガポールの建国の父とも言われるリークワンユー初代首相は「コンクリートジャングルは人間の精神に悪影響を及ぼすことから、都市の緑化を進める必要がある」と述べ、シンガポールを「Garden City」とすべく、様々な緑化政策を進めてきました。事実、様々な都市計画や住宅政策を考える上で、建物の緑化や公園の設置などは不可欠な要素です。そして、このように緑化政策を進め「Green&Clean」なシンガポールのイメージが作られたことが、海外からの投資や観光客誘致に一役買っているという見方もあります。また、7割のシンガポール人が「『Garden City』はシンガポール人のアイデンティティーである」と考えている、という調査結果もあります。
2013年からは、「Garden City(都市の緑化とより良い住環境の整備)」から「City in a Garden(自然と共存し持続性のある都市づくりと豊かな国民生活を構築)」への転換も進めており、そのために、「コミュニティとの連携」や「豊かな動植物の生態系との共存」などの6つの目標が設定されています。特に「コミュニティ」は非常に重要なキーワードであり、より国民の生活と自然とが身近にあるような都市の在り方を推進しています。例えば、最近ではコミュニティガーデンが至る所に存在し、コンテストが行われたり、ガーデニングに関するワークショップが行われたりしています。また、Gardens by the Bayもシンガポールのローカルコミュニティのためのイベントやスペースに力を入れていくようで、今後も「Green&Clean」なシンガポールの動きから目が離せません。
シンガポール政府は、どのような政策を実施しているか広く一般に周知するために、いくつかの分野について、誰でも見学可能な展示スペースを常設しています。
例えば、シンガポールの都市計画については「URA City Gallery」、シンガポールの公共住宅政策については、「HDB Gallery」や、環境に関することであれば「Singapore Sustainable Gallery」などがあります。いずれも無料で見学可能で、実際に今回訪星した宮崎県職員も含め、日本の自治体関係者もよく訪問しております。場所によってはガイドツアーも実施していることから、シンガポールの政策を知りたい!と考えた際には、是非このようなギャラリーも訪問してみてはいかがでしょうか。