愛知県は、2018年11月9日(金)から11日(日)まで、ベトナム帰国愛知留学生ネットワークを活用し、県の魅力の発信、県進出企業への支援、県内大学等の留学生受入拡大を図るため、ベトナムのホーチミンとハノイで、人的交流を深めるための交流会を開催しました。
1 交流会
愛知県では、母国で活躍する元留学生とのネットワークづくりを進め、県の魅力の発信、県進出企業への支援、県内大学等の留学生受入拡大を図るため、2010年にベトナム帰国愛知留学生ネットワーク(バロネット)を設立しました。日本国内では、帰国予定留学生とベトナム進出本社企業、県等との交流会を開催するなどの取組を実施するとともに、ベトナムでは、ホーチミン、ハノイで、それぞれバロネット会員(元留学生)、進出企業関係者、教育機関関係者及び愛知県に留学希望の現地学生との交流を深めるための事業を実施しています。
今回、ホーチミン工科大学で、日本に興味のある60名近くの学生を集め、製造業、人材コンサルタント会社などの日系企業との交流会を開催しました。
日系企業の中には、優秀なベトナム人材を獲得するため、独自に大学とのネットワークを構築するなど、ベトナム人材に対する関心の高さが窺われました。
2 愛知のものづくりを支える留学生受入事業
愛知県では、県内企業が多数進出しているアジア諸国から、技術系を中心に優秀な人材を県内大に研究生として受け入れ、2年間の大学院修学終了後に、県内企業への就職を促すことにより、世界有数のものづくり地域を支える人材の集積を図ることを目的として、国費留学生を上回る奨学金を補助する「愛知のものづくりを支える留学生受入事業」を実施しています。
交流会では、県内大学等への留学生受入拡大も目的の一つとしており、多くの学生から同事業に関する質問が相次ぎました。元留学生への質問も多く、「愛知県は企業が多く、就職に困ることはない。」と答える先輩の言葉は、どの情報ソースよりも説得力があったようです。
帰国後も、継続して両地域を結びつける「人」に注目したこの事業が、架け橋となり、地域の課題解決に繋がることが期待されます。
3 おわりに
技能実習生の送り出し国は、従来、中国が最大でしたが、2016年以降、ベトナムからの供給の増加は顕著です。足元では、介護人材の確保が期待されていますが、愛知県はものづくり企業が集積する地域であることから、日本を支える製造業の労働力確保も喫緊の課題となっています。中小企業においては、「日本の商慣習、文化を理解しており、日本語を話せる者」を求める傾向が強いのですが、そもそも、企業数の留学生の能力、ニーズなどの情報把握に苦労し、マッチング機会自体が乏しい場合が見受けられます。
愛知県では、この点をサポートするため、10年ほど前から、県内大学留学生を対象に中小企業向けインターンシップや、県内企業に対する説明会を継続して実施しており、企業・留学生双方から一定の評価を得ています。愛知県では、海外でも同様の取組を進めようとしています。
今回、ベトナムの学生から受けた印象ですが、彼らにとって、日本はとても魅力的な国だが、「どの土地でも同じ」と捉えているようです。それゆえに、いかに留学先としてメリットがあるのかをアピールすることが重要です。
あらゆる情報・技術が世界で競争にさらされている現在、金融やITなどの高度な専門職は、各国で人材の争奪合戦が起きています。ベトナムでは英語を話せる学生も多く、優秀な学生の多くは英語圏に流れています。低賃金労働力を求めるだけではなく、新たな技術革新と産業構造の創出の担い手として、どう活用していくか、産官学が一体となって知恵を絞らなければなりません。自治体はこれらを結びつける役割を果たしていくことが期待されています。