2018年12月10日から12月12日まで、ラオス・ビエンチャンを訪問し、在ラオス日本国大使館、JETROビエンチャン事務所、JICAラオス事務所等の日系機関をはじめ、ラオス内務省、元留学生協会を訪問し、ラオスの現状についての聞き取り及び今後の連携に係る意見交換を行いました。
ラオスは東南アジア唯一の内陸国であり、面積約24万平方キロメートル(本州と同程度)、人口約650万人の国です。2006年以降年平均8パーセントの経済成長を達成しています。2017年の一人当たりGDPは約2,400ドルですが、政府は2020年までに3,190ドルを目標に掲げています。国民の平均年齢が21.9歳、約半数が25歳以下という若い国でもあります。
ラオスは、中国、タイ、ベトナムに囲まれた国であり、バランスの取れた全方位外交を展開しています。ベトナムとは兄弟国と言われ政治的に結び付きが強いですが、文化的に関係が深いのはタイであり、ラオス人はタイ語を理解します。
ラオスの主な産業は農業ですが、資源も豊富であり輸出品目の約半分を電力と鉱物が占めています。電力は主に水力発電によっており、ミャンマーやカンボジア等と比較して、電力供給は安定している印象です。
日本は対ラオスODAトップドナーであり、そのこともあってラオスは日本に好印象を持ってくれているとのことです。ビエンチャンのワットタイ国際空港も日本の援助により建設されており、運営も日本企業「Lao-Japan Airport Terminal Services Co.,Ltd(L-JATS)」が行っています。空港内では、「L-JATS」のロゴが至る所で見受けられ、日本の存在感を感じました。2016年にはラオス―日本直行便を実現するための日・ラオス航空協定も発効しており、日本との観光面・文化面での交流も深まると思われます。
東南アジア各国では、賃金の上昇が顕著ですが、ラオスは比較的廉価な労働力が期待できる国です。また近年は、ASEAN経済共同体(AEC)が発足し、制度面での整備が進行していることもあり、メコンエリアでの国境を越えた分業体制が進んでいます。そんな中で、リスクヘッジも考慮して、タイ+1、ベトナム+1の候補として検討されるのがラオスです。特にラオス人はタイ語を解することから、タイ人マネージャーを活用することも可能で、タイからの展開先として期待されているようです。
進出のデメリットの一つとしては、内陸国ならではの割高な輸送コストが挙げられますが、近年は下落傾向にあり、今後インフラ整備や企業間での競争が進めばさらにコストを抑えることが可能になるだろうとのことでした。
前述のとおり平均年齢の若い国で、毎年14万人から15万人の労働力が供給されていますが、雇用機会が多くないためタイへの出稼ぎが非常に多いのが現状です。そのため、労働力の確保は難しくないように思われますが、地方から人を集める必要があるため、寮の設置等が必要になります。
ラオスでは人口の70パーセントが農業に従事している農業国です。ラオス政府は付加価値の高い農業生産を目指して、オーガニック栽培などを奨励しています。代表的な産品のひとつとしてコーヒー豆があり、タイのカフェチェーンへ供給しているほか、日本のカフェでもラオスの豆を取り扱っているところがあるそうです。ラオス政府は農業分野への投資を奨励するため、優遇制度も設けています。ラオス国内や周辺国で富裕層が増加することにより、価値の高い農業生産へのニーズが高まる可能性があり、期待できる分野と言えます。
また、観光立国としても期待されています。イギリスの旅行雑誌による世界遺産人気投票でラオスの古都ルアンパバーンが1位に選ばれるなど、欧米を中心にラオスへの関心が高まっています。
今回はラオス内務省も訪問し、日頃の協力へのお礼と、今後の連携について意見を交わしました。ラオスでは今年、ルアンパバーンなど3都市を特別市として指定したものの、職員も自治という概念をまだ理解できていないこともあり、マネジメントの面で課題を感じているということでした。日本の地方自治制度の経験から学びたいとの要望もあり、今後さらなる協力関係を構築していければと考えます。