愛知県市長会の「トップセールス×連携×継続」

 7月21日(日)から24日(水)にかけて、愛知県38市で組織する愛知県市長会が、タイにおいて観光誘致や販路拡大などを目的に現地企業等に対しトップセールスを行いました。タイは1960年代から日本の自動車産業が進出したことで工業化が大きく進展し、現在では多くの関連産業が集積しています。インバウンドでは、2018年に訪日タイ人数が前年比14.3%増の113万2,100人となり、東南アジアの送客市場として初めて100万人を突破するなど、アセアンの中でも特に注目の集まる市場となっています。国内では、好調なインバウンドの継続による交流人口の増加、2027年のリニア新幹線の開業による巨大経済圏の誕生等、2026年のアジア競技大会の愛知・名古屋での開催等、この地域に大きな注目が集まっていることから、愛知県市長会は、県内各市のアジア諸国に対する戦略の構築に資するため、2017年度から海外事業を実施しており、3回目となる今年は17名の市長・副市長が参加しました。

 訪問団は、政府関係機関、同県からの進出企業、現地旅行社等を訪問し、活発な意見交換を行いました。最終日には、これらの訪問先の機関・企業等を懇談会に招待し、各市の特産品PR、抽選会などを実施しました。団長の中野一宮市長は、「タイからの観光客誘致や特産品の輸出等に向け、参加各市の魅力をしっかりPRできた。今後の戦略が明確になった」と述べ、今回の訪問に確かな手ごたえを感じたようでした。各市長も、各々のPRブースの前で、「次回は是非愛知でお会いしましょう」と、特産品を手に通訳を交えながら懸命にPRをしていました。

 地名にブランドがあるのは東京、大阪、北海道等の限られた地域と言われますが、特別な観光資源や外国人にウケる特産品がなくても、多くの訪日客を呼ぶ地域があります。「何度も試行錯誤し、継続的にPRしてくれるところは本気だと分かる」「正直、日本の地方はよく分からない。売り込みに来てくれればそこを売り込む」と、現地旅行社から話を聞いたことは一度ではありません。

 愛知県市長会の「トップセールス×連携×継続」は、有効なプロモーションセールスの手法というだけでなく、複数の首長が同じ方向性を持つことで、相互のネットワーク強化や、単独事業よりも強い影響力を持つ政策形成に役立つ一手となり得るものではないでしょうか。

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