2020年1月6日にダナンに領事事務所が開設したことを機に、 日本とベトナムの交流促進を図るため、自由民主党二階幹事長を団長とする1000名規模の交流団が1月12日、13 日に日本からベトナムのダナンを訪問しました。クレアシンガポール事務所は 、新潟県の活動支援として参加 し たので、その様子をお伝えします。
1 ベトナム市場の 可能性
ベトナムの2019 年1月から6月までの経済成長率は前年比で 6.76% と、東南アジアの中でも成長著しい国の一つです。ベトナムに進出している日系企業数は2019年7 月時点で1,848 社と、日系企業のベトナム市場が進んでいます。2009年10月に は 日本・ベトナム経済連携協定が締結され、関税の撤廃、サービス貿易の自由化及び関連分野の連携強化 が進められ、2014 年からはベトナム人看護師・介護福祉士候補者の受入れ も始まりました。さらに日本語を学ぶ学生も年々増加しており、2018 年の日本語学習者数は約 17 万 4千人と、2015 年の約 6 万 5 千人から大幅に増加しました。これらの背景から、ベトナムは日系企業の進出や人材確保の面で 大きな 可能性を秘めている市場と言えます 。文化交流分野でも、2014 年から始まった「ダナン越日文化交流フェスティバル」は今年で 6 回目を迎えるなど、 多 分野 において二国 間の連携や交流が 進められてきました 。
2 日本ベトナム交流の夕べと知事交流会
今回のイベントでは、まず初日の夜に、「日本ベトナム交流の夕べ」が開催されました。 ベトナム側からは、グエン・スアン・フック首相、ファム・ミン・チン党中央組織委員長ら約
100 名が参加し、日本側からは二階幹事長、梅田駐ベトナム大使らをはじめ、日本の自治体、産業界、観光関係者ら約 1000 名が参加し交流を図 りました 。翌日に開催された「知事交流会」には、日本側から北海道・山形県・山梨県・滋賀県・奈良県・新潟県知事、前高知県知事、秋田県副知事が参加し、各地の特徴や産業の紹介、ベトナムとの交流事例の発表などを行い、ベトナム側からは19 の自治体が各地の紹介を行いました。日本・ベトナム各地の魅力をお互いに発信すると共に、首長同士の貴重な意見交換の場となりました。
3 日本ベトナム観光交流シンポジウム
2 日目に開催された「日本ベトナム観光交流シンポジウム」では、日本の観光庁とベトナム政府観光総局が、相互交流促進をテーマに講演を行いました。その後「地方誘客の取組」について山形・山梨・奈良・新潟の各知事と、ベトナムの地方政府代表2名がパネルディスカッション形式で各地の事例を発表しました。新潟からは、花角知事が「雪・スノーリゾート」「錦鯉」などの主要コンテンツを紹介すると共に、チャーター便の取組状況の説明を行いました。また、「日越間のパートナーシップ強化」について北海道・滋賀県知事・高知県前知事・秋田県副知事と、ベトナム地方政府代表2名が各地の事例を発表するなど、二国間の特徴を比較しながら、また各知事の意見も取り入れながら進められました。
4 訪日促進を目指して
ベトナムからの訪日旅行客は近年増加傾向にあり、2019 年には前年比27.3%増の495,100 人でした。ベトナムにおける訪日旅行の情報収集先は「旅行代理店」が首位となっています。旅行代理店を通じたフルパッケージツアーの申込みが大半で、ビザの代理申請も行う旅行代理店も多く、海外旅行に行く際には旅行会社を頼る傾向にあります。これは海外個人旅行(FIT)が主要な旅行手段である他のASEAN 諸国との大きな違いであり、ベトナムで訪日促進を図るには、旅行会社へのセールスがカギとなると考えられます。今回の期間中、別会場では「訪日旅行商談会」も開催され、多くの自治体が参加し、現地旅行会社へ魅力を発信していました。
5 所感
期間中、ベトナム・日本間で12 の覚書が新たに締結されました。具体的には、国土交通省と農業・地方開発省による防災協力改定、JICA と天然資源・環境省による洪水早期警報システムなどの能力強化連携、北海道とベトナム観光総局による観光分野における覚書などです。他にも、ベトジェットエアが愛知・福岡・鹿児島とベトナムを結ぶ新たな路線開設発表するなど、両国の更なる経済発展が期待されます。自治体は、ベトナム計画投資省大臣との面会や旅行会社へのセールスなどを通して、各方面から経済交流促進を図っていました。当事務所への自治体からの活動支援依頼を見ても、最近はベトナム関連の依頼が増えてきていますが、今回の同行を通して、日本の自治体のベトナムへの期待値の大きさを改めて実感しました。