北海道及び札幌市では、相互のネットワークや資源を活用し、連携して道内企業の海外販路拡大を支援するため、2016年7月に北海道・札幌市海外拠点連携協議会を設立し、道市連携海外展開推進事業を実施しています。今回クレアでは、本年度「海外企業連携型販路拡大プロジェクト」として実施した北海道フェアinホーチミン市2020視察商談会(札幌商工会議所、北海道商工会議所連合会と共催)及びマレーシア食品商談・市場視察会(さっぽろ産業振興財団と共催)に同行しました。
■活況を呈するベトナム・ホーチミン
まず一行はホーチミン市の高級スーパーを視察。ビルの上階が外国人用コンドミニアムになっているスーパーでは、イタリア産のハムが1パック1,000円で販売されるなど高級品が並んでいました。
2016年7月創業のホーチミン髙島屋では化粧品が一番人気だそうで、所得の増えている若い会社員女性が「シャネルのバッグは持てないけど、化粧品なら」と購入しているそうです。これからの展望としては、最近肥満の子どもが多く、子どもへ使うお金は惜しまないことから、健康関連商品が流行するのではないかというアドバイスを頂きました。
翌日の商談会前にはJETROホーチミン事務所から、日系のちよだ寿司、現地系の北海道サチ、屋台形式のすしコといった各寿司店が繁盛しているなど、日本食を巡る事情の説明がありました。ちなみにトロ等脂身が多いネタは人気が無いそうです。
商談会には、加工米やスイーツ、チーズ、味噌・醤油等を扱う事業者等が参加し、150社以上が招待されました。商談会では、モッツアレラチーズがベトナム人にまだ馴染みがないなど、味の国民性が確認できました。
■日本食進出の可能性が十分あるマレーシア
マレーシア・クアラルンプール市では、レストランシェフで構成される業界団体の事務所を商談会会場に設定し、会の途中では記者会見のような場が設定され、北海道と札幌市の担当者が報道陣から取材を受ける場面もありました。クアラルンプールでは、ベトナムと比べると日本との味覚の違いはなく、価格面で折り合えば商談が成立している様子でした。
商談会翌日にはマレーシア進出セミナーとしてASIA INFONETの田辺マネージングディレクターから、マレーシアの可能性について説明がありました。人口は3,200万人とタイやベトナムよりは少ないが、可処分所得の高い世帯数がタイやベトナムに比べて多く、平均年齢が28歳と若い点が魅力とのことです。中華系富裕層を対象とする場合はハラル対策も不要です。
日本食レストランは2019年時点で1,500店舗にのぼると言われており、1杯1,000円のとんこつラーメン一風堂に行列ができており、ローカル系寿司屋のスシキングはハラル認証取得でマレー系をターゲットに地方を中心に140店舗を展開し、こちらも行列ができているそうです。また、フランチャイズで展開しているファミリーマートは出店開始2~3年で100店舗を展開し、イートインやおでん等日本風のコンビニ文化が根付いてきたそうです。
~支援後の所感~
ベトナムの丸亀製麺は、フォーのような柔らかい触感が好きなベトナム人と、コシを大事にする日本人駐在員のどちらにも対応できるよう、日本よりもやや柔らかい麺に仕上げているとのこと。日本人が美味しいと感じる物でも、現地用にカスタマイズしなければ売れないということを再認識させられ、海外進出するうえで現地の事情に詳しい企業等と連携することの重要性を改めて感じました。
マレーシアに関してもハラル対応をしているローカル系のスシキングが勢力を拡大しているとのことで”現地化”の大切さをここでも感じました。
(今井所長補佐 北海道池田町派遣)