毎年アジア・太平洋地域における最大級の旅行業界関係者向け旅行フェア「Outbound Travel Mart」がインドで開催されています。日本政府観光局(JNTO)ではビジット・ジャパン(VJ)事業の一環としてジャパンパビリオンを出展しており、今回クレアでは、2020年2月3~5日ムンバイ市で開催されたOutbound Travel Mart2020を取材しました。
ジャパンパビリオンには自治体・旅行代理店・ホテル等20団体が出展しました。ブースを主催するJNTO担当者に話を伺ったところ、昨年は出展可能ブースが少なく出たくても出られないという声があったことから枠を増やし、参加団体は昨年の倍となったそうです。濃密な商談を行えるように今年は椅子も用意したため、各社とも多数の来場者と有意義な意見交換ができている様子でした。
自治体からは東京都と横浜市が参加。まず(公財)東京観光財団として参加した東京都は、4年前からインドへの取組を開始しています。これまでの取組から、テクノロジーを公開する施設、体験型、最近インドで映画が製作された相撲等がインド人に好まれるコンテンツと感じているそうです。また、インド人は歩くことが嫌いな方が多いため、なるべく歩かない行程を作成するよう配慮しているそうです。これらの情報は2年間で5社を招聘したFAMツアーで収集されていました。また、横浜市は同市ムンバイ事務所職員が参加し、市が作成したベジタリアンガイドブックが来場者からの反応が良いとのことでした。
続いて旅行代理店数社を取材しましたが、こちらでもインド人は歩かないので寺社は人気が無いとの意見がありました。また、日本はガイドさんの費用、ホテル、タクシー全ての費用が高く、インド人の訪問希望先順としてはシンガポール、タイ、マレーシア、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカの後に日本が来るという意見もありました。
~所感~
取材した全ての団体で共通していたことは、インド人を受け入れる際はインド人シェフが調理するインド料理店が行程上に無ければツアーの呼び込みが難しいという点です。インドの方は基本的にインド料理しか食べず、日本食を試す場合でも6~9日の行程で1~2回程度とのことです。また、日本の約9倍の国土を有するインドには多数の民族、多数の言語があり、ひとくくりにインド人と捉えることは難しいため、インドマーケット参入の意向がある自治体担当者の方には、ターゲットとする地域を絞った取組をお勧めしたいと感じました。