20 20 年 2 月 2 6、27 日に タイ の バンコク 市内に おいて、 日本国総務省 消防庁とタイ内務省防災局の共催により 「 日本 ―タイ国際消防フォーラム 」 が開催されました。タイ では 近年の急速な都市化により高層ビルや大型の商業施設が数多く建設されています。その一方、 防火ダンパーや防火扉の未設置により建物火災の被害が拡大したケースが発生するなど、 建物に対する 消防防災体制の整備 に課題を抱えて います。この フォーラム は 日本での消防防災の優れた取組を紹介するため 2 007 年から東南アジアを中心とした各国で行われており 、 今回は タイの消防関係職員に対し 日本の 取組や 消防 防災関係商品について紹介するとともに、両国の現状 と課題 についての意見交換を行いました。クレアシンガポール事務所ではこのフォーラムの模様を取材しましたのでご報告します。
フォーラムには、 タイ の消防防災関係者 が参加し 、 総務省消防庁関係者 からの各種事例(日本の消防防災制度の特徴、ドローンやロボットなどテクノロジーを活用した消防防災、 消防器具の認証制度 、消防団制度 など の紹介 や防災用品メーカー の 商品紹介 に 非常に熱心 に 耳を 傾 け て いました 。 また、 タイ側からはタイの消防 防災 行政における課題とその対応についてプレゼンテーションがありました。 講演後に設け ら れ た質疑応答の時間には、時間が足りないほど多くの質問が寄せられ、 タイ における 消防防災 への 危機意識と関心の高さが 窺え ました。
寄せられた 質問 の中には、 以下のようなものがありました。
〇日本では住宅への火災警報器設置が義務付けられたとのことだが、設置していない場合の罰則はあるのか。(タイでは火災による死亡事故の 8 9 割が住宅火災)
(回答)罰則はなく、現在の設置率は 80 %程度。
〇住宅へのスプリンクラー設置のための総務省消防庁の取組(設置に対する助成制度はあるのか、など)
回答 助成制度 は ない が、 新築 の 際 に 設置 す る と 費用 が 安 く な る も の も あ る の で 消防庁 と し て も PR を し てい き たい。
さら に 、日本の豪雪地帯に住んでいるタイ人に対し、雪崩など雪に関係する災害とその備えについてタイ語で説明する資料を配布し て もらいたいという要望もありました。また、タイ で は LP ガスを使用しているため、 馴染 み の ない 日本 の 都市ガスの安全な利用についても周知 し て ほ しい という要望もあり、母国と異なる環境で生活するタイ人住民に対する情報提供に対するニーズの高さを感じました。
こうした切実な課題を共有し、課題解決に向けて意見の交換が出来た今回のフォーラムは、日本とタイの距離を縮め、今後の継続した情報・意見交換を行う上での関係作りに寄与できたものと思います。今後も当事務所では、国際協力などを通じた両国の交流促進を支援するとともに、ひいては、日本、タイ両国の関係強化を図ってまいります。