クレアシンガポール事務所は2022年8月30日、タイ内務省地方自治振興局(DLA)と日本国総務省(MIC)との共催で、日本・タイの地方自治体職員を対象に「日本・タイ地方行政ジョイントセミナー」を開催しました。これまで当セミナーは、日本のベストプラクティスを用い、ASEAN諸国の課題解決のきっかけとすると共に、知識伝達型に終始せず、その後の自治体間交流にもつながる新たな場となることを目的として、現地開催国に日本の自治体の講師を招いて開催してきました。今年度は日本の全国自治体にも是非タイのベストプラクティスを知っていただきたいという思いから、初めて現地開催とウェビナーのハイブリッド形式で開催し、日本側自治体にもオンラインで参加いただきました。タイ現地での参加者以外に、オンラインで両国併せて約300名にご視聴いただきました。
今回のセミナーでは、「地域の観光振興」をテーマに、インバウンド誘客のための「魅力ある観光地域づくり」や「道の駅利活用」について、日本側とタイ側からそれぞれ先進事例の発表を行いました。日本側からは、総務省の協力の下、それぞれのテーマについて先進的な取組を行っている佐賀県及び北海道ニセコ町から講師をお招きし、各団体の取組をご紹介いただきました。
佐賀県地域交流部文化・観光局観光課下平副課長からは、県が取り組んでいる「タイ人観光客を急増させた佐賀県での取組」についてフィルムコミッションのロケ地誘致をきっかけとして、タイから佐賀県の宿泊観光客数が6年間で25倍となった取組の概要について紹介いただきました。タイ側の受講者からは、「観光誘客における住民参加はどのような状況か」といった具体的な質問もあり、このテーマに対する関心の高さがうかがえました。
北海道ニセコ町商工観光課齊藤課長からは、町が取り組んでいる「インバウンド誘客と道の駅利活用」について、国際交流員(CIR)を活用した英独中韓の4カ国語のホットライン対応、キャッシュレス決済やスムーズな免税手続き等の道の駅「ニセコビュープラザ」の対応事例等について紹介いただきました。日本・タイ両側の受講者から、「インバウンド誘客において SNSをどのように活用しているか、閲覧者数を増やすにはどうすれば良いか」といった、両国自治体の課題が類似していると感じさせる質問が寄せられました。「日本への旅行を待ち望んでいるが、いつ完全に渡航制限が無くなるか」といった質問も寄せられるなど、日本への関心や訪日旅行の需要の高さも感じました。
同テーマで行われたタイ側の講演でも、講師となった現役の市長や町長からタイの各自治体における先進的な事例の紹介が行われる等、受講者にとって両国の先進事例を学ぶ良い機会となったと思います。本セミナーを通して、講演を行った講師陣には多くの質問が寄せられ、講師の知識と経験を受講者に共有いただきました。
講演の合間や休憩時間などセミナー全体を通じて日本の講師とタイの講師との交流も盛んに行われており、タイ側講師は休憩時間中も日本側講師やスタッフのクレア職員に積極的に話しかけてくださり「発表した事例の取り組みは、日本の浅草や京都を訪問した時の経験を元に立案した」との話も伺いました。
今後もシンガポール事務所では、今回のカウンターパートとなったDLA等との連携を深めながら、日本とタイ双方の課題解決や地方自治体間の交流につながる事業を行ってまいります。