クレアシンガポール事務所は2024年1月26日、タイ内務省地方自治振興局(DLA)と日本国総務省(MIC)との共催で、日本・タイの地方自治体職員を対象に「日本・タイ地方行政ジョイントセミナー」を開催しました。これまで当セミナーは、日本のベストプラクティスを用い、ASEAN諸国の課題解決のきっかけとすると共に、知識伝達型に終始せず、その後の自治体間交流にもつながる新たな場となることを目的として、現地開催国に日本の自治体の講師を招いて開催してきました。昨年度の開催に引き続き、今年度も日本の全国自治体にも是非タイのベストプラクティスを知っていただきたいという思いから、現地開催とウェビナーのハイブリッド形式で開催し、日本側自治体にもオンラインで参加いただき、タイ現地での参加者以外に、オンラインでも両国併せて約200名にご視聴いただきました。
今回のセミナーでは、「中小自治体の戦略策定-SDGsとまちづくり-」をテーマに、「地域経済の活性化に向けたまちづくり」や「脱炭素社会に向けたまちづくり」について、日本側とタイ側からそれぞれ先進事例の発表を行いました。日本側からは、総務省の協力の下、それぞれのテーマについて先進的な取組を行っている愛知県半田市、和歌山県北山村及び岡山県真庭市から講師をお招きし、各団体の取組をご紹介いただきました。
和歌山県北山村教育委員会小林副主査からは、村が取り組んでいる「日本唯一「じゃばら・筏」を核とした地域づくり」について、地域の特産品である「じゃばら」と北山村でしか体験できない「観光筏下り」を核に地域全体の経済の循環システムについて紹介いただきました。タイ側の受講者からは、「北山村において、エコツーリズムの取り組みはあるか」といった具体的な質問もあり、このテーマに対する関心の高さがうかがえました。
愛知県半田市久世市長からは、市が取り組んでいる「半田市バイオマス産業都市構想」について、畜産ふん尿等を利用したバイオガス発電と、その排熱・排ガスを利用した植物工場を中心とした4つの事業化プロジェクトやビオぐるファクトリーHANDAの取り組み等について紹介いただきました。日本・タイ側の受講者から、「今後ビオぐるファクトリーは、将来的に別のサイトに新しい施設を建てる計画はあるのか」といった質問も寄せられるなど、日本の先進事例への需要の高さを感じました。
岡山県真庭市産業観光部林業・バイオマス産業課杉本室長からは、市が取り組んでいる「脱炭素先行地域「真庭」の挑戦~地域資源を生かした真庭市の戦略~」について、森林資源を最大限活用して脱炭素社会実現させるための木質バイオマス発電やSDGs、脱炭素に係る取組等について紹介いただきました。日本側の受講者から、「各取組をとおして、市に住みたいという住民は増えたか」といった質問も寄せられるなど、先進事例をとおした波及効果に対する関心の高さも感じました。
同テーマで行われたタイ側の講演でも、講師となった現役の市長からタイの各自治体における先進的な事例の紹介が行われました。本セミナーを通して、講演を行った講師陣には多くの質問が寄せられ、講師の知識と経験を受講者に共有いただきました。
今後もシンガポール事務所では、今回のカウンターパートとなったDLA等との連携を深めながら、日本とタイ双方の課題解決や地方自治体間の交流につながる事業を行ってまいります。