兵庫県立フラワーセンター(以下「HFC」)とシンガポール植物園(Singapore Botanic Gardens。以下「SBG」)とは、昭和55(1980)年1月に姉妹提携を締結して以来、人材交流や植物交換、情報交換などの交流活動を活発に行ってきました。(SBGはシンガポール唯一の世界遺産。2015年登録)
このたび、令和2(2020)年に姉妹提携40周年を迎えるにあたり、交流を更に活性化するため、プレ事業として、9月下旬に、両園のコレクションの中から特徴的な植物を選び、交換しました。
令和元(2019)年9月25日、HFCがシンガポールを訪問し、HFCが世界で初めて人工繁殖・交配に成功した食虫植物・ウツボカズラ(ネペンテス)2種類をSBGに贈呈。SBGからは、貴重な植物の贈呈に心から感謝する旨の謝辞がありました。
また、贈呈に先立って、HFCから食虫植物やラン等の栽培にかかる発表を行ったところ、参加者達は熱心に耳を傾けており、例えば、「イギリスで勤務していた際、PHの高いイギリスの水道水をやり続けてウツボカズラが全滅したことがあったが、HFCでの栽培にはどのような水を使っているのか」との質問に対して、HFCが通常の水道水を使用している旨回答したところ、参加者たちは一様に驚いた様子でした。
9月27日、SBGが兵庫県を訪問して、HFCで開催された贈呈式に出席し、SBGが育成したラン類のオリジナル品種10種類をHFCに贈呈。HFCからは、貴重なランを受贈したので、大事に育てていきたい旨の謝辞がありました。
今回贈呈されたランの特筆すべき点は、1993年に、当時皇太子であった天皇陛下のご成婚を記念して命名されたラン(デンドロビウム)「マサコ・コウタイシ・ヒデンカ」が含まれていることです。
SBGでは、来訪した各国の皇族や元首を中心に、その名前を冠したランを「VIPラン」として栽培していますが、これは門外不出とされており、今回、「マサコ・コウタイシ・ヒデンカ」が海外に贈呈されたことは、極めて異例なケースで、SBGがHFCとの姉妹提携を重視している証と言えます。
なお、「マサコ・コウタイシ・ヒデンカ」については、現在全世界で、SBG、宮内庁、そしてHFCの三ヶ所にしか存在していないことになります。
HFCでは、今回の贈呈を受けて、10月10日から「マサコ・コウタイシ・ヒデンカ」をはじめとするラン類10種を大温室内で特別展示することとしています。
今回の植物交換は、両園の絆を更に強化するとともに、来年の姉妹提携40周年記念事業に大きく弾みをつけるものにもなりました。両園の間では、40周年という大きな節目を契機に、更に特色ある交流が展開されるものと期待されます。
自治体関連の国際交流には、様々な形態があり、このような交流の積み重ねにより、地域間の繋がりは深まっていきますので、クレアシンガポール事務所では、引き続き、公立施設等が行う取組も含め支援してまいります。