2019年9月24日(火)から27日まで、マレーシアで最大規模の国際食品見本市「フード・アンド・ホテル・マレーシア(FHM)」が首都クアラルンプールで開催されました。
クレアシンガポール事務所ではジャパンパビリオンに出展していた企業・団体へ取材を行いました。以下、出展者から聞き取りした自治体に対するニーズを中心に報告します。
名称 |
フード & ホテル マレーシア 2019 |
開催期間 |
2019年09月24日 ~ 2019年09月27日 |
会場 |
クアラルンプールコンベンションセンター |
来場者数 |
26,000人 (2017年実績) |
出展対象品目 |
食品、飲料、ホスピタリティー、フードサービス、ベーカリー、小売、キッチン用品、その他 |
出展企業・団体 |
50 カ国・地域の1,250超の企業・団体(2017 年実績) |
主催 |
日本貿易振興機構(JETRO) |
出展企業・団体 |
35の企業・団体 |
ジャパンパビリオンにおける出展商品中、ハラル認証を取得していたのは全体の3割弱程度でした。
現在のマレーシアのイスラム教徒は人口の6割以上を占め、2050年には7割強に増加すると予想されています。一方で、マレーシアのイスラム教徒の大多数を占めるマレー系は中華系と比較すると経済力が低く、中華系の平均世帯月収が8,750マレーシアリンギットであるのに対し、マレー系は7,150マレーシアリンギット(2016年時点)となっています。
現時点では日本食品を主に消費するのは都市部に居住する華人の中・高所得者層であるため、出展者はハラル認証の必要性をそこまで感じていない印象を受けました。一方で、ハラル認証を取得しているか否かを最初に確認するバイヤーが多いとの声もありました。
商品の特性や各出展者のターゲットが各々異なるため一概には言えませんが、出展者と現地事業者の間の認証取得の必要性の認識に、少しギャップがあるように感じました。
(1) 自治体に対するニーズ
現地ディストリビューター、インポーターに関する情報へのニーズが目立ち、現地事業者に関する情報の不足が課題となっていることが伺えました。
また、自治体から事業者に対する助成制度について、品目の特性に合わせた配慮を求める声がありました。例えば、精肉等は他の品目と比べて出展までのコストがかかるところ、公的機関からの補助は品目に関わらず一律となる傾向があり、実情を反映していない、との指摘がありました。
その他、「輸出は1年では効果が出にくく、3年は続ける必要がある。1年目から事業報告を求められるが、成果を出すのは難しい。単年度ではなく複数年度の実施を前提とした事業が望ましい。」との声もありました。
(2) その他
多くの自治体が地元企業に海外へ目を向けてもらうため様々な取組を行っていますが、ある出展企業からは、「輸出は利益が出るまで長期間の辛抱が必要となるため、代表者の理解が無いと成り立たない。中小企業の海外進出を進めたいのであれば、日本国内で海外についての情報発信や勉強会を強化し、それに興味を示した企業の代表者に働きかけるのが合理的」との指摘がありました。
また、シンガポールへの進出状況についても伺ったところ、「シンガポールは飽和状態で中小企業にとって難しい市場である。以前、あるイベントで出展募集を行ったが企業が集まらず、なんとか出展者を集めて事業を実施した。」といった声があり、多くの事業者にとってシンガポールは難しいマーケットとして認識されていることが伺われました。一方で、「シンガポールで隔年開催されるフードアンドホテルアジア(FHA)は非常に規模が大きく、中東からもバイヤー、インポーターがくる。出展者の数も多く競争が激しいが、競争力があるのであれば、FHAは効率よくマーケティングできるイベントである。」との声もありました。
クレアシンガポール事務所では、今後も自治体の海外販路開拓支援の参考となる情報の収集・発信に努めてまいります。