山陰地方の地方自治体等産学官で構成する「中海・宍道湖・大山圏域 インド人材受入・企業連携推進事業実行委員会」に参画する島根大学の教授が、2019年4月21日から23日までの日程でインド・ケララ州を訪問し、本年度事業について現地大学及び商工団体等と協議をしました。 今回、クレアシンガポール事務所は、現地大学訪問等に同行し、その活動を支援いたしましたので、その様子を報告します。
1.山陰等とインド・ケララ州とのつながり
2012年にインド思想と仏教学の世界的権威である故・中村元(なかむらはじめ)博士の出身地である島根県松江市に「中村元記念館」が設立されたことを契機として、山陰地方の経済界が中心となって、2013年に経済や文化などの日印交流を目指す「山陰インド協会」を設立。同年から同協会が旗振り役となってインドへの経済視察団の派遣が開始されました。そして、ワドワ駐日インド大使(当時)から大使の出身地であるケララ州を紹介いただいたご縁で、松江市及び近隣4市(以下、圏域)で構成する「中海・宍道湖・大山圏域市長会」及び同圏域内の商工団体で構成する「中海・宍道湖・大山ブロック経済協議会」がそれぞれインド南部のケララ州政府及び印日商工会ケララとの間で経済交流拡大を目指す覚書(MOU)を2015年12月に締結しました。 また、2016年度からは「中海・宍道湖・大山圏域 インド人材受入・企業連携推進事業実行委員会」を立ち上げ、圏域IT企業の人材確保や海外販路の拡大を目的とした、圏域企業でのインターンシッププログラムを開始しました。
2.インターンシッププログラム参加者の約15%が圏域IT企業に就職
上記インターンシッププログラムは、2016年度より毎年度開催され、延べ36人の大学生及びエンジニアが参加しました。このインターンシップを通して、合計5人の大学生が圏域IT企業に就職しました。また、こうした人的交流を加速するため、圏域の事業の一環として、2018年9月からは、島根大学より同大学の協定校であるCochin University of Science and Technology(コチ理工大学)に日本語教師が派遣され、現地での日本語教育に当たっています。
3.インターンシッププログラムの今後について
島根大学教授に同行し、島根大学との協定校や印日商工会ケララで開催された、2019年度インターンシップのスケジュールや今後の日本語教育についての協議等の活動支援の中で、島根大学の協定校の1つであるRajagiri School of Engineering and Tecchnology(ラジャギリ工業技術大学)から、同大学内で島根大学日本語教員によるIT専攻大学生のための日本語クラスを開講してほしい旨の要望や受け入れ人数の増加要望を聞くなど、圏域事業への大きな関心が寄せられていました。
日本でのITエンジニア不足が叫ばれるなか、地方でのこうした取組によって、IT人材確保から地方への企業誘致につながる好循環が生まれていくことが期待されます。