日本政府観光局(JNTO)によると、2019年のシンガポールから日本への旅行者数は約44万人と過去最高を記録し、前年比8.2%の増加を見せています。ASEANの他の国と比べると伸び率はやや低いものの、安定した訪日者数を誇るシンガポールで2019年8月2日(金)から4日(日)に旅行博「NATAS HOLIDAYS 2019」が開催されました。自治体国際化協会シンガポール事務所は、JNTOシンガポール事務所が出展するジャパンパビリオン内ビジットジャパンブース等において、観光PRを実施しましたので、現地の様子などをご報告します。
【 参 考 】 シンガポールの訪日観光の特徴
・2018年の訪日者数は約44万人と過去最高(前年比8.2%増)
※ASEAN第4位
・9割がFIT旅行者(個人手配)
・訪日者の約60%がリピーター
1.リピーター層を惹きつける各自治体の工夫
観光庁の調査によると、シンガポール人の日本への観光客は6割がリピーターと分析されています。さらに10回以上日本を訪れている人は17%にも上り、かなりの「日本通」が多いこともシンガポール市場の特徴です。そのため、ゴールデンルート(東京・山梨・静岡・愛知・京都・大阪)以外の訪日宿泊実績が全体の4割を超えるなど、地方への関心が年々高まっています。来場者からの問い合わせも「もう何度も訪日していて主要なところは行った。どこか新しい訪問先を提案してほしい」という内容が目立ちました。今回初めての出展となった自治体も複数ありましたが、いずれの自治体もリピーターに対し雪や観光名所など地域の魅力をPRし、関心を集めていたほか、すでに何度も出展している自治体はシンガポールで有名な観光地についても季節ごとの魅力をアピールすることで再度の来訪につなげようとする工夫が見られました。
2.「お得」でシンガポーリアンの心をつかめ!
一般的にシンガポーリアンは「お得」が大好きだと言われています。ノベルティグッズがもらえるアンケートには積極的に協力してくれますし、関心も高いため事前に新聞広告やインターネットで告知することでわざわざブースまで訪れてくれることも珍しくありません。
今回ジャパンパビリオンのイベントステージでは、日本の縁日を模したコーナーや出展自治体によるご当地クイズ大会などが行われました。その中でも、とある自治体がクイズの賞品としてご当地鉄道の模型を出したところ、子供連れのシンガポーリアンを中心に大盛況となりました。また、別の自治体は職人が民芸品に好きな模様や文字を入れてプレゼントするサービスを行っており、自分だけの1点もののプレゼントが手に入るとあって長蛇の列ができており、完成品を受け取った来場者の嬉しそうな顔が印象的でした。自治体の名前を覚えてもらうためのパンフレット配布も重要ですが、こうした地元の特産品からインパクトを残すPRの仕方も有効だと感じました。
3.地域の魅力を伝えるJETプログラム卒業生
地域の魅力をシンガポーリアンの目線で来場者に伝えることは、より効果的なPRにつながります。今回ALT(外国語指導助手)として日本に暮らした経験のある6名のJETAA(JETプログラム同窓会)シンガポール支部のメンバーがNATASの自治体ブースに入り、地域の魅力をPRしました。ALT時代に住んでいた、旅行で訪れたことがあるなどその地域との関わりは様々でしたが、参加者からは「おすすめのレストランの情報についてよく聞かれた。具体的なお店というよりは自分が好きだったご当地グルメを紹介し、魅力をアピールした」といった声があり、日本人の気づかない日本の魅力をシンガポーリアンに分かりやすく伝えることに貢献してくれたようです。
クレアシンガポール事務所では、今後も所管国で開催される旅行博等の情報を積極的に発信してまいります。
■ NATAS HOLIDAYS 2019の概要
会期 2019年8月2日(金)~4日(日) 10:00~21:30
開催場所 Singapore EXPO
主催 National Association of Travel Agents Singapore(NATAS)
対象 一般消費者
入場料 無料
来場者数 108,000人 (2018年8月開催時は約113,000人)
自治体・関連団体の出展者 北海道、大雪カムイミンタラDMO、埼玉県/群馬県/新潟県(3県合同)、群馬県高崎市、静岡県、長野県長野市、岐阜県、宇治市観光協会、和歌山県、中国地域観光推進協議会、四国ツーリズム創造機構、沖縄観光コンベンションビューロー