2019年9月13日に、新潟県議員10名がマレーシアのクアラルンプールを訪問しました。新潟県は「スノーリゾート」や、米などの「食」を売りにした海外からの観光客誘致、伝統工芸品や日本酒の海外販路拡大を目指していますが、今回JETRO・JNTO・イオンミッドバレー店訪問を通して、新潟県産品の輸出拡大やインバウンド増加のための効果的なアプローチ方法について探りました。
マレーシアからの訪日客数は2017年には40万人を超え、日本からマレーシアへの旅行者数(約39万2千人)を上回りました。訪日客は中華系の富裕層が多く、平均4~5人で、20~30代の人が親や子どもと訪日するパターンが多いです。JNTOでは、マレーシアからの訪日客の目は北陸などの地方へも向いてきており、金沢や白川郷などへの人気も高まってきているというお話を伺いました。新潟県内でもインスタ映えするビジュアルのインパクトがある場所が、起爆剤になる可能性を秘めています。また、広域連携の効果も大きいということでした。新潟県は、8月2日~4日までシンガポールで開催されたNATASという旅行博に、埼玉県・群馬県との合同ブースを出展し、上越新幹線を利用し5日間で3県を巡る秋・冬のモデルルートを紹介しました。県をまたぐ旅行商品を組むことで、現地旅行会社への効果的なセールスに繋がることも期待されます。
マレーシアでのスノーリゾートの需要についてですが、マレーシア人はスポーツをするためにスノーリゾートへ行くというよりは、雪が見たいというニーズの方が高いようです。JNTOに新潟県内でマレーシアからの訪日客に受けそうなところを聞いたところ、十日町市のファームステイやホームステイということでした。豪雪地帯の生活体験はそれだけで観光資源になるということを学びました。
電気・電子及び関連製品はマレーシアの輸出の約4割を占める主要産業です。JETROでお話を伺ったところ、新潟県の企業では、上越市のウエカツ工業(株)がジョホールバルに工場を持ち、高い磨きの技術で成功しているとのことです。
マレーシアには約600万人の富裕層がおり、その大半は中華系でお酒も豚肉も口にしますが、マレーシアに進出している酒蔵はまだ少ないそうです。シンガポールと同様に糖尿病が国民病になっており、低糖米や機能性食品の需要も今後高まることが見込まれます。ある自治体がマレーシアで物産展を開催した際、果物などの売上が予想を上回るものだったことから、新潟のルレクチェ(洋梨)や越後姫(いちご)なども売れることが期待されますが、季節ものである点や輸出コストなど課題もあります。
イオンミッドバレー店には約1万台停められる駐車場がありますが、週末には満車になるほどの人気店です。富裕層に加えアッパーミドルも多く訪れるため、イオンで商品を販売することでマレーシア中間層の反応を見ることができます。取締役に話を聞いたところ、マレーシアではイスラム人口が多く、ハラール認証が非常に重要とのことです。例えば日本で製造したキットカットと現地で製造したハラール認証付キットカットでは、日本製の方が明らかに味は良いのに、ハラール認証付の売上の方が格段に良いそうです。売場を視察したところ、新潟県産の米菓も販売されていました。ハラール認証マークがない菓子コーナーには「Please check the ingredients before purchase.」という標記があり、自分で原材料を確認して購入するよう標記されていました。ハラール認証を得ることでイスラム教徒(全体の7割)には受け入れられますが、味が薄いものが多いため残り3割の中華系・インド系の人たちには受け入れられないかもしれないという面もあるようです。
アルコール類や豚肉など、ノンハラール商品は売り場が別になっていました。一般売り場のカートを中に持ち込むことも禁止されています。アルコール売場には、新潟の日本酒も二種類売られていました。
これからやって来るスキーシーズンを前に、県議団からはマレーシアからの訪日客の動向や好みなど、観光分野に関して多くの質問や意見が出されていました。スノーリゾートへ誘致するだけではなく、豪雪地帯のホームステイやエコツーリズムなどを活用した観光政策も今後注目していくべきだと感じました。中華系の方には豚骨ラーメンやお寿司が人気ということなので、新潟が誇る米や海鮮、日本酒を売り込む余地が十分にあるということも実感しました。来月11月には、イオンミッドバレー店で「新潟フェア」を実施するので、現地での反応に期待します。