2019年9月5日~6日、フィリピン・マカティ市(マニラ首都圏)にて開催された「UCLG ASPAC評議会及び『持続可能で強靭な都市における災害リスクの軽減マネジメントフォーラム』」に参加しました。
UCLG ASPACは、国際的な地方自治体の連合組織であるUCLG(United Cities and Local Governments)のアジア・太平洋地域(Asia Pacific)支部です。日本からは、静岡県浜松市が地方自治体会員、クレアが国際地方自治体組織会員として参加しています。
なお、浜松市では、2019年10月23日~24日に、UCLG ASPACと共催で「都市間連携国際サミット2019浜松」が開催される予定です。
今回参加したフォーラムは、アジア・太平洋地域が世界の中でも洪水や台風、地震などの自然災害の影響を受けやすい地域であること、また仙台防災枠組(注1)のターゲットEの達成期限が迫っていることから、「災害リスクの軽減マネジメント」(Disaster Risk Reduction Management。以下、DRRM。)をテーマに開催され、200名を超える行政関係者が集まりました。
講演及びパネルディスカッションでは、計13の政府機関及び参加自治体が、過去の災害時の対応例や特徴的な取組などについて発表し、意見交換が行われました。ネパールやフィリピンの政府機関から、都市開発にあたっての環境配慮の必要性や、国家・地方政府間での連携の難しさなどが提起されたほか、また、中国や韓国の自治体からはAIやIoT、ビッグデータを活用した減災への取組について紹介がありました。
日本からは浜松市が登壇し、防潮堤及び津波避難施設の整備などについて説明されました。一方で、自助:共助:公助の割合は7:2:1であると自助の大切さを強調し、出前講座や昨年12月に開設された「防災学習センター」内のコンテンツなどが紹介されました。各国の自治体の中でも、自助の重要さを訴えた浜松市の発表は、参加者を惹きつけていました。
(注1)平成27年に宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」の成果文書。ターゲットEでは、2020年までに、国と地方の防災戦略を持つ国数を増加させることを目指している。
会議の後のスタディツアーでは、マカティ市のDRRMオフィスを見学しました。DRRMオフィスでは、町中に設置したCCTVカメラの映像により、災害の発生をチェックするとともに、専用の緊急ダイヤルを設けて電話対応を行い、必要に応じてすぐに緊急車両等を派遣できる体制を整えているそうです。
マカティ市は2018年11月に横浜市と「マカティ防災・減災アカデミー計画支援に関する覚書」を締結する等、今後も当該分野において力を入れていくことが伺えます。
シンガポール事務所の所管国の国々においても、今後の持続的な発展を見据え、自治体レベルでの災害リスク軽減に向けた意識が高まっています。
これまで多くの自然災害に見舞われてきた日本の自治体が、その経験から学んだことや、普段から防災・減災に向けて取り組んでいることは、日本では当たり前かもしれませんが、東南アジアの自治体にとっては、大きな価値がある可能性を感じました。
自治体が積極的に持ちうる知恵を共有することで、国境を越えた協力関係の深化に繋がることに期待したいです。