9月5日(木)~7日(土)にかけてホーチミン市で開催された「International Travel Expo Ho Chi Minh City(ITE HCMC)」は、今年で15回目迎えるベトナム最大級の旅行関連イベントです。
今回、クレアシンガポール事務所では、ベトナムでどのくらい訪日旅行に関心が持たれているか、また日本の自治体からベトナム市場に対しての関心はどうか、といったことを現地に出向き取材してきました。
1 ITE HCMCの概要
概要 | Vietnam National Administration of Tourism(VNAT) HCMC Department of Tourism等が主催するベトナムの国際旅行博覧会(今回で15回目の開催) |
開催期間 | 2019年9月5日(木)~7日(土)9:00~19:00 ※5・6日はB to B(16時以降は一般公開)、7日は一般公開 ※6日及び7日の午前中に視察 |
開催場所 | Saigon Exhibiton & Convention Centre(SECC) |
対象 | 企業、メディア、一般消費者 |
来場者数 | 約35,000人(2018年度実績) |
VJブース | 3団体:ドン・キホーテ、JR東日本、共立メンテナンス(ドーミーイン) |
自治体ブース | 名古屋市、釧路市(Mommai TravelブースにてPR) |
2 東南アジア最大の訪日旅行者数の伸び率
ベトナムからの訪日外客数は、近年では毎年過去最高を更新し続けており、2014年の約12.5万人から、2018年の38.9千人へと5年間で約3倍にまで増加しています。総数では、タイなどの他のASEAN諸国には及びませんが、2018年の対前年伸び率は25.9%と、東南アジア最大であり、今後の更なる成長が期待出来る市場です。元々親日度が高いことや、LCC(格安航空会社)の参入、各自治体が現地旅行会社に対する情報発信を強化していることなどがあり、急速な訪日客数の増加が続いています。
3 ITE HCMCの状況
3日間にわたって行われたITE HCMCでは、会場内は活気で溢れており、アジア各国やベトナム国内の地方など、様々な国の紹介や旅行商品が売られていました。会場内には、VJブースが設置され、浴衣の試着、記念撮影等を行っており、多くの来場者が訪れていました。また、名古屋市、釧路市のようにVJブース以外で出展をしている自治体もありました。VJブースで従事していた日本政府観光局(JNTO)の方にお話を伺ったところ、多くのベトナム人にとって、予算面から訪日旅行は、まだ憧れの存在(訪日ツアーは約10万円~20万円と、大卒初任給(約3万円~5万円)の倍以上)で、8割程度の方が初訪日とのことでした。シンガポールの旅行博では、リピーターが多数を占めるため、自分で作成した行程表を持参し、ブースでその行程表に対するアドバイスを求められることも多いですが、今回の旅行博では、具体的に旅行商品を購入したり、旅行の計画を立てるためではなく、各ブースでの催しを楽しみに来ている方が多いとのことでした。また、今回単独で出展していた名古屋市では、市単独でのPRは中々難しいため、近隣県を交えた昇龍道(愛知県・岐阜県・富山県・石川県を南から北に縦断する観光ルート)をPRしたり、東京から新幹線で約1時間半程度で立ち寄れる利便性の高さをPRしているとのことでした。また、旅行会社に旅行商品を造成してもらうためには、現地での知名度を高めることが必要なことから、今後も旅行博等に継続的に出展し、知名度向上に努めていきたいとのことでした。今後、ベトナム人の所得向上やLCCの拡充、ビザ要件の緩和などが行われることによって訪日客は増え続けることが予想されます。そうした中でリピーターも増え、ゴールデンルート以外への旅行商品を検討する方も増えてくるでしょう。そうした際に、自分の自治体を訪問先の候補として考えてもらえるよう、地道なPRを続けることが大切だと感じました。クレアシンガポール事務所では引き続き観光インバウンドに取り組む自治体の支援を行うとともに、自治体の観光政策立案の参考となる情報収集・提供に取り組んでまいります。