シンガポール川に学ぶ!川辺の魅力づくり

横浜市では、市内を流れる河川を活用した「水辺の新たな魅力づくり」事業に取り組んでいます。今回、横浜市の職員2名が、2019年4月18日~21日の日程で、シンガポール川沿いの人気観光スポットである「クラーク・キー」の開発から、同事業を進めるうえでのヒントを得るべく、シンガポールを訪問し、関係機関への訪問及び現地視察を実施しました。
クレアシンガポール事務所では、「クラーク・キー」をはじめとしたシンガポール川沿いエリアの開発を所管する都市再開発庁へのアポイントメント取得及び同行支援を実施いたしましたので、その様子をご報告いたします。

◎ シンガポール川沿いの3つのキー

マリーナベイからシンガポール川に沿って歩くと、それぞれに雰囲気の異なる3つのキー(quay=埠頭)が続きます。観光客向けのレストランなどで活気に溢れる「ボート・キー」、ナイトタイムエコノミーを中心に賑わう「クラーク・キー」、のんびりと落ち着いた雰囲気の「ロバートソン・キー」です。
現在は、シンガポールでも有数の人気観光スポットであるこれらのエリアですが、1930年代までは、商人が事務所や倉庫、船着き場等を作り、商いや貿易を行うエリアとして活用されていました。現在のように観光スポットとして親しまれるようになったのは、1970年代後半から、政府が開発に取り組んでからのことです。

◎ 「クラーク・キー」の開発

今回の視察目的である「クラーク・キー」ですが、近代的な建築物が建ち並ぶシンガポールのイメージとは反面、歴史的な建築物も多く残っています。これは、政府が川沿いのエリアを開発する際、歴史的な建築物の保存も計画に組み込んだためです。商人が事務所や倉庫として使用していた建物は、通称ショップハウスと呼ばれ、レストランやバーなどで賑わい、船着き場も、リバークルーズや水上タクシーの船着き場としてその面影を残しています。
シンガポール政府はこの計画を進める際、緻密な計画を立てることはもちろん、同時に国民の声を取り入れるよう意見を募集しました。中には、歴史的な建築物の保存プログラムに対して批判的な意見もあったようですが、1つ1つ話し合いで解決して、開発に漕ぎ付けたとのことです。

横浜市の進める「水辺の新たな魅力づくり」事業では、地域の方が主体となり、市内を流れる大岡川・中村川を最大限に活用した地域の魅力づくりを行うことを目的としています。シンガポール政府の行った「クラーク・キー」の開発手法からは、その目的を達成する上で多くのヒントが得られたようです。今後の横浜市の都市開発に期待が寄せられます。

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