2019年10月16日から20日まで、鹿児島県知事をはじめ、鹿児島県から経済界や農業関係団体、医師会など官民一体となった総勢123名の訪問団が、2Wayの国際チャーター便を利用して、ベトナム・ハノイ、ハイズオン省を訪問しました。訪問に際し、当事務所が同行支援を行いましたので、訪問の様子をご報告します。
鹿児島県は、県内の外国人労働者に占めるベトナムからの技能実習生が、全体の約4割(約3,000人)を超え、近年増加傾向にあります。国内外で外国人材の確保を巡る競争が激しくなる中、鹿児島県においても人手不足が顕在化しており、今後更なる増加が見込まれる外国人材を、地域経済を支える貴重な人材として、また、地域社会の重要な構成員として温かく迎え入れ、安心して働くことができる多文化共生の地域づくりに取り組んでいます。
そのような状況を背景にした今回の大訪問団での訪越は、県内各界のベトナムへの関心の高さが伺えます。
ハノイ市内の首相府で、グエン・スアン・フック首相との会談も実現しました。フック首相から「鹿児島とベトナムは新しい友人で戦略的パートナーであり、今回の大訪問団を高く評価する。ベトナム人労働者や留学生への支援に感謝し、今後も私としても支援したい。」との力強い発言があり、双方が戦略的パートナーシップを構築する必要があるとの認識で一致しました。
ハノイ市内で開催された「2019 Vietnum Business Summit(ベトナム商工会議所主催)」において、日本の自治体で初めて鹿児島県が招待され、知事が講演を行いました。このサミットは、貿易や投資などに関するベトナム最大の国際会議で、ベトナム政財界のトップが一堂に集結したほか、ASEAN諸国をはじめ、日本や中国、韓国からも経済団体関係者が参加していました。
講演では、鹿児島県の豊かな自然な世界に誇れる農林水産物などの魅力を存分にPRするとともに、ベトナムと鹿児島が共に発展するよう、パートナーシップを築いていきたいと、知事が呼びかけました。
上述のビジネス・サミットの中で、ハイズオン省との「人材の育成及び受入れ、技術協力等に関する覚書」の締結式が行われました。
ハイズオン省は、ベトナムの首都ハノイから車で約1時間半、ベトナム北部最大の港湾都市・ハイフォンにも近く、交通の要衝として知られています。日系企業の進出が進むなど、近年著しい成長を遂げている省として注目されています。
同省のグエン・マイン・ヒエン党書記は、本年4月に鹿児島県庁を訪問して知事と面会しており、日本の自治体としては初めての覚書締結となりました。
その他、ティエン文化・スポーツ・観光大臣をはじめ、各省で政府要人と相次いで会談し、鹿児島県の今後のベトナムとの交流等について、あらゆる方面から、活発な意見交換が行われました。
また、ベトナム政府機関関係者を招いた、県主催のレセプションでは、和牛チャンピオン(2018年)で日本一に輝いた鹿児島県産黒毛和牛や、養殖量日本一のブリ・カンパチを提供し、食の宝庫 鹿児島の魅力がベトナム招待客の心を掴んだのではないかと思います。
100名を超える規模のベトナムへの訪問団派遣は、全国の自治体としては初めてで、今回の訪問では、ハイズオン省とのMOU締結のみならず、フック首相との面会をはじめ、多くのトップ対談を通じて、鹿児島をPRする機会に恵まれ、さらなる連携強化を誓うなど大変実りある行程となりました。
官民一体となった「オール鹿児島」での訪越で、鹿児島とベトナムが、経済、観光、農業のあらゆる分野において互いの強みを活かし、Win-Winの戦略的パートナーシップの構築が深化していくことが期待されます。